《腸漏れ注意報》日本人の7割以上がリスクあり「やる気出ない、太りやすい」の現代病にご用心
炭水化物と食物繊維
ここでは取り入れやすい4つの方法を紹介。 (1)《炭水化物は適量》がベスト 「一般的にうどんやご飯は消化がいいと思われていますが、私たちが内視鏡検査で見てきた限り、胃から小腸に移動するのにうどんは5~6時間、米やパンは早くて4時間ほどかかります。このように消化に時間がかかる炭水化物を1日3食でとりすぎると、消化吸収が終わらず消化管が疲弊して、腸漏れが起こりやすくなります」(平島先生) とはいえ、極端な糖質制限は体調を崩すおそれがありNG。 「炭水化物の1日の最低必要量は、1日当たり約100g。ご飯でいうと、茶碗2杯程度となります。活動量や体調に合わせてこの分量に茶碗1杯分をプラスするなどして、糖質の摂取量を調整するといいでしょう」(平島先生) (2) 2種類の食物繊維をとる 「善玉菌には腸漏れを改善し、タンパク質の吸収をよくする働きがあります。そのエサとなるのが食物繊維。食物繊維には2種類あり、善玉菌のエサとなるのは〈水溶性食物繊維〉ですが、もう1種類の〈不溶性食物繊維〉には便の量を増やして排便を促す働きがあり、どちらも腸の健康に必要。多くの人は水溶性食物繊維が不足ぎみなので、特に意識してとることをおすすめします」(秋山先生) 食物繊維をバランスよく含む食品は、上の表をチェック。 「ちなみに炭水化物もとり方を工夫するだけで、食物繊維と同様の効果が期待できる食品に早変わりします。その工夫とは冷ますこと。ご飯や麺を冷やすと〈レジスタントスターチ〉という成分が増えますが、これには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方の特徴があり、善玉菌のエサとなり、便のカサを増して便通を促してくれます。ですから、私たちは2人とも〈冷やごはん派〉です」(秋山先生)
頼もしいビタミンも
(3) 小麦&乳製品を控える 「タンパク質摂取は大事ですが、中には腸漏れを招きやすいタンパク質もあります。それが小麦粉に含まれる〈小麦グルテン〉と乳製品に含まれる〈カゼイン〉。小麦グルテンには粘りと弾力があり、腸にベタベタと張りつき炎症を誘発します。カゼインも未消化になりやすく、腸漏れの原因に。これらを毎日のようにとっているなら、一度やめてみて、体調の変化を観察するといいでしょう」(平島先生) 疲労感がとれる、胃もたれしなくなるなどの変化があれば、腸に悪影響を及ぼしていた可能性大。今後はできるだけ控えることをおすすめ。 (4) ビタミンDをとる 「腸粘膜の細胞がしっかり結合していれば、腸漏れは起こりません。この細胞間の結合を強化してくれる頼もしい栄養素がビタミンD。卵、マグロ・鮭など魚類、干ししいたけや乾燥きくらげなどに多く含まれるので、意識してとりましょう」(秋山先生) この4つを実践した結果、便通がよくなったりおならが臭くなくなったりしたら、腸漏れが改善されたサイン。栄養素が正常に吸収される腸を取り戻したら、次は効率よいタンパク質摂取を心がけたい。 「身体が一度に利用できるタンパク質の量は1食当たり20~40gで、とりだめはできないといわれています。食事や間食でこまめにタンパク質を補給しましょう」(平島先生) お話を伺ったのは──平島徹朗先生●日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本抗加齢学会専門医。国立佐賀大学医学部卒業後、国立がん研究センター中央病院内視鏡部などの勤務を経て、たまプラーザ南口胃腸内科クリニック、福岡天神内視鏡クリニックを開設し、院長、理事長を務める。 お話を伺ったのは──秋山祖久先生●医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。長崎大学医学部卒業後、長崎大学消化器内科に入局。多くの総合病院勤務を経て、福岡天神内視鏡クリニック院長に就任。年間4000例以上の内視鏡検査を行っている。 取材・文/中西美紀