アダストリアが「ブレイモア」を支援 “東大卒”イメージの脱却に挑む25歳の野心
アダストリアは6月5日、若手クリエイターを支援する新規プロジェクト「リードプロジェクト(LEAD PROJECT)」の始動を発表した。アダストリアの村岡秀紀「リードプロジェクト」プロジェクトリーダーが中心となり、ファッション業界での活躍を夢見る若手クリエイターとタッグを組み、アダストリアの生産背景を提供して、クリエイターがそれぞれのブランドでやりたいことを具現化する。 【画像】アダストリアが「ブレイモア」を支援 “東大卒”イメージの脱却に挑む25歳の野心
第1弾の支援デザイナーは3人で、うち一人が「ブレイモア(BLAYMORE)」の松井勇樹デザイナーだ。「リードプロジェクト」の支援下では初となる2024年春夏コレクションにおいて、セットアップやショートパンツ、Tシャツ、バッグなど全14型をそろえた。アダストリアのECサイト「ドットエスティ(.ST)」で6月12日に発売する。
松井デザイナーは「ブレイモア(BLAYMORE)」を2023年に立ち上げ、洋服づくりの裏側を見せるSNS運営でファンを増やしてきた。現在のインスタグラムフォロワーは約8万。同氏は東京大学&文化服装学院卒業で、これまではその学歴が注目を浴びることも多かった。しかし、「東京大学卒業というイメージだけで終わりたくない」と、今回のプロジェクトに情熱を傾ける。松井デザイナーと、プロジェクトの仕掛け人である村岡に話を聞いた。
「イッセイ ミヤケ」の衝撃
表現者を目指し文化服装学院へ
WWDJAPAN(以下、WWD):これまでの経歴について改めて教えてほしい。
松井勇樹「ブレイモア」デザイナー(以下、松井デザイナー):ファッションに関心を抱いたのは、東京大学に入学してすぐ、友人に「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」を紹介されたことがきっかけだ。それまでは受験勉強ばかりで、ファッションをあまり気にかけてこなかったため衝撃を受けた。
ただ、すぐにデザイナーを志したわけではない。就職活動時は一般企業にエントリーしていた。すでに内定も受けていたが、「やっぱり表現者としての側面を伸ばしたい」と考え直し、入社を急遽辞退した。東京大学院への進学に方向転換し、夜間コースで文化服装学院の服装科に通うことを決めた。入学前から実家のミシンでお直しやリメイクをたまにしていたが、文化服装学院に進学してから服飾の勉強を本格的に始めた。大学院では農学を専門に、サステナブルファッションが環境に及ぼす影響を定量調査している。