入院する場合、「部屋の大きさ」によって医療費が変わることはあるのでしょうか? また、部屋の指定はできるのでしょうか?
入院する場合、大部屋や少人数部屋、個室など部屋には種類がありますが、自分で指定できるのか疑問に感じている方もいるかもしれません。「もしも入院したら……」と考えたときに気になるのが、部屋の種類によってどの程度費用が変わるのか、という点です。 そこで本記事では、部屋の種類ごとに差額ベッド代の平均額を紹介するとともに、別途代金が発生するケースと発生しないケースを紹介します。
部屋の種類によって医療費が変動する
入院にかかる費用は、治療費だけではなく食事代や差額ベッド代などがあります。また、入院するときに泊まる部屋には、個室や2人部屋、4人部屋など複数の種類があります。差額ベッド代とは、大部屋以外の入院部屋を希望した際にかかる費用で、全額が自己負担です。個室もしくは少人数の部屋を希望する場合、別に費用が発生すると覚えておきましょう。 ■差額ベッド代の平均額 厚生労働省が発表している中央社会保険医療協議会の資料によると、差額ベッド代の平均額は表1の通りです。 表1
※厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」を基に筆者作成 差額ベッド代は国や自治体で定めているわけではなく、各病院が自由に設定しています。そのため、病院の利用者層や地域の相場などに影響を受けて変動することを理解しておきましょう。例えば、大病院が集中する東京では、個室の差額ベッド代が全国の平均と比べて2倍以上にもなります。 ■差額ベッド代の支払いが発生するケース 患者が大部屋以外を希望する際、病院からその部屋の設備や構造、料金について説明を受けます。患者が説明に同意し、同意書にサインすることで、差額ベッド代の支払い義務が発生します。同意書は、患者の希望があったことを証明する重要な書類となるため、内容を十分に確認したうえで署名することが大切です。 病院が「大部屋が満室なので個室に入ってください」と説明し、その場で同意書にサインした場合も、結果的に差額ベッドを希望したという扱いになります。同意書に署名をしたという事実が残る以上、後で「希望していなかった」と主張しても、差額ベッド代の支払いを免れることは難しくなるでしょう。 ■差額ベッド代を支払わなくてよいケース 個室や少人数部屋を利用しても差額ベッド代を支払わなくてよいケースもあります。例えば、治療上、個室での治療が必要なケースで、病院側の判断により個室や少人数部屋での入院になった場合、別途代金は発生しないといわれています。手術後の状態がよくなく、重篤で安静にしなければならない場合も該当します。 また、感染症の患者も、感染対策として病院側からの指示で個室に入院してもらうケースもあります。 ■差額ベッド代は公的医療保険の対象外 差額ベッド代は治療費とは異なり、医療保険の対象ではありません。全額自己負担となるため、入院日数が長引けはその分費用もかさんでしまいます。 また、病院にかかった際の費用が大きくなったときに利用できる高額療養費制度も、差額ベッド代は対象外となります。さらに、確定申告による医療費控除も対象外です。 ただし、民間保険の中には差額ベッド代を始めとした自己負担項目の費用を保証するサービスもあるようです。差額ベッド代の負担を減らしたい方は、いま入っている保険で対象となるか確認してみましょう。
入院部屋の指定はできるが差額ベッド代が発生するケースがある
入院時に部屋の種類を指定することは可能です。しかし、大部屋から少人数部屋や個室への変更を希望する場合、差額ベッド代が発生します。差額ベッド代は医療保険の対象外のため、全額自己負担となる点に注意が必要です。 もし入院するなら、少人数部屋や個室がよいと考えている方は、事前に利用を検討している病院の差額ベッド代を確認しておきましょう。また、民間保険では差額ベッド代を保証しているものもあるため、あわせてチェックしておくことをおすすめします。 出典 厚生労働省 主な選定療養に係る報告状況 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部