藤原ヒロシが語る新店「V.A.」と「タイムラグの面白さ」 「僕は未来にほしいものを買う」
――原宿に限らず、街が再開発で変わっていくことについては?
藤原:街は時代ごとに変わっていくことが必然だと思っていますよ。例えば西新宿は、僕にとってレコード屋街のイメージが強いけれど、今はそうではないし、レコード屋のイメージなんか全然ない人もたくさんいる。日本に地震が多いこととかも関係していると思いますが、とにかく作っては壊し、街がいつの間にか様変わりすることが日本の特徴。それが外国人観光客にとっては、とても魅力的にうつっていたりもしますからね。だってヨーロッパなんかへ行くと、100年前くらいの教会とかそこらじゅうにあって、ナポレオンが通ったレストランとかもあるくらいですから。
――街も情報も、スピード感は飛躍的に伸びたような気がします。
藤原:情報には僕自身も踊らされてきたし、仕事を始めてからは踊らせる方にもなったけれど、今は踊っている暇もない感じがしますよね。行列に並んでいる間にもう、新しい流行が次々にやってきちゃう。
――どんどん情報量が多くなっていく中で、どう情報を得ていますか?
藤原:例えば音楽だったら音楽好きな人たちの、ファッションだったらファッション好きな人たちのLINEグループがそれぞれあるので、そこの情報は結構信頼しています。そうやって知っている人のフィルターを通した情報を得るようにしています。
タイムラグを楽しめるお店になってほしい
――情報との関連でいうと、かつては音楽のジャンルとファッションが強く結びついていて、パンクでもヒップホップでも正装となるファッションがありましたが、そういうのもだいぶなくなりましたよね。
藤原:それは音楽フェスの影響が大きいと思いますね。ロックもハードロックもヒップホップも、全てが同じ会場で、観客たちは一律にアウトドアファッションになってしまった。昔はライブハウスごとに個性があって、そぐわない格好をしていると入れてもらえなかったりしたけれど、今はそんなことできないでしょう。それは雑誌なんかも同じで、「anan」と「JJ」では表紙のモデルからしてまったく違うカラーを打ち出して、思想的に相入れない雰囲気こそが面白かったのに、今はどの雑誌でも同じ人が表紙を飾っている。