「道悪」「京都適性」の差が如実に表れた春のグランプリ。ブローザホーン&菅原明良騎手の”人馬一体”が悲願成就【宝塚記念】
”道悪上手”ソールオリエンスが2着
昨年の皐月賞馬であるソールオリエンスは、それ以降は歯がゆいレースを続けていたが、今回の追い切りでは往時を思わせる動きを披露し、復調気配を漂わせていた。調子が戻ってきたところへ、「重」の皐月賞を制した道悪上手のキャラを活かしての好走が今回の2着だったと言えるだろう。横山武史騎手は「もともと古馬になってからと思っていた馬」と語っており、さらなる上積みがあれば、こちらも秋の中長距離戦線を沸かせてくれるはずだ。 ベラジオオペラは正攻法の競馬でGⅠホースとしての威厳を示した。大阪杯の勝利は軽視されがちだが、この一戦で彼のポテンシャルが正味でトップクラスにあることを示したと言っていいだろう。 筆者が推したプラダリアは積極的に前目へ付ける競馬で健闘したが、最後の競り合いに敗れて馬券圏内には残れなかった。ゲートで後手を踏み、追っ付けて先行した分が堪えた感じだが、それでも「京都得意」「道悪上等」という二つのポイントはしっかりと活かし切った。GⅠではやや家賃が高い印象もあるが、馬場が渋った際の上位進出をマークしていきたい1頭である。 さて、武豊騎手が「馬場のせいにはしたくない」と語ったドウデュースである。クリストフ・ルメール騎手が「ディープインパクト(の仔)に、この馬場は難しい」とコメントしたジャスティンパレスと表現の違いが興味深かった2頭だが、客観的にみると、今回の凡走はやはりどちらも道悪が向かなかったという点に帰着するだろう。第65回宝塚記念は「彼らの日ではなかった」。そんなことがあるのも競馬である。 文●三好達彦