桜の開花が基準?春先から始めたい観葉植物のお手入れTODOリスト|プロが元気に育てるコツを伝授
todo④【水やり】習慣を見直し、土に呼吸を
土が乾いたら、底から水が抜けるほどたっぷりお水をあげること。この水やりの基本は、年間を通して変わりません。床暖房を使っていると土の渇きは早くなりますが、基本的には冬場よりも春の方が土の渇きが早くなります。土の様子を観察して、水やりのタイミングをつかめるようにしましょう。 「排水はかなり重要です。植物も呼吸をしているので、たっぷりの水と一緒に空気を送り出すことで、根の窒息を防いでいます」(江田さん) 水やりはまんべんなく 特に大きな鉢で、毎回同じポジションから水をかけていると、水路のようなものができてしまう可能性があります。全体にまんべんなく水が行き渡るように気をつけて水やりをしましょう。 「株元にかけているつもりでも、一方は乾いているのに、もう一方は湿っている状態になってしまうことも。カバー材を使用している場合は1度取り外して、全体に水がかかるようにしましょう」(江田さん)
todo⑤【水浴び】外に出してリフレッシュ!
冬の間に溜まった汚れやほこりを落とすためにも、外に出してシャワーや葉水(キリフキ)で思いきりお水を浴びせるときれいになり、虫の予防にもつながります。 「水を浴びせるのは、春先から行ってほしいことの1つですね。また、真夏の強い日差しにいきなり当てると葉焼けを起こしてしまいますので、冬を越して、室内から屋外へ出して管理する場合に徐々に光の量を慣れさせるためにも、この時期はベストなタイミングです」(江田さん) 観葉植物を室内で育てていると、日当たりに限界があります。植物は光に向かって伸びる性質も。気温が下がる秋頃まで、外に置いて育てるのも1つの方法です。 「外に置くと360度まんべんなく光が当たりやすくなります。冬に葉が落ちてしまった観葉植物を春の気温が安定した時期から外に出すと、均等に育っていい具合に回復するでしょう。室内では光の方向に葉が向いてしまうので、時々鉢をまわしてあげます」(江田さん)
todo⑥【虫対策】観察。それに尽きる
やわらかい新芽は、虫の大好物でもあります。気温が高くなると媒介する虫も動き出し、春先から増えやすいのだとか。殺虫剤は、原因がわかってからの最終手段。冬に溜まったほこりは虫がつく原因になるため、葉水や外でのシャワーで葉をきれいにすることが予防につながります。 「手入れをしっかり行うと、観葉植物自体の免疫力が高まります。基本的な体力があれば、虫や病気を寄せ付けにくくなります。基礎体力をつけさせるために風通しがよく、日の当たる場所に置き、肥料を上げるようにしましょう。すべての作業が、一連でつながっているのです」(江田さん) 観葉植物につきやすい虫 観葉植物で悩まされやすい虫は、主にハダニ、カイガラムシの2種類でしょう。それぞれがついてしまったときの対処法を紹介します。 ハダニ 葉を吸着するハダニがつくと葉の緑色が抜けて黄色っぽく変色し、蜘蛛の巣のような糸も見られることがあります。ハダニがつく大きな原因は乾燥。霧吹きだけでは不十分なので、時には外に出して、葉の面と裏がびっしょりになるまでたっぷりと水をかけてあげましょう 「ハダニがついて色が変わってしまったときは、葉を濡らして軍手で拭き取ってあげましょう。葉は緑に戻りませんが、根は枯れません。処置さえすれば、これから伸びる次世代の芽がきれいに育っていくはずです」(江田さん) カイガラムシ カイガラムシがいると、床やテーブルなど観葉植物の周りが排泄物によってベトベトします。部屋の掃除をしているとベタつきを感じるときがあるため、虫がいるサインに気づきやすいでしょう。 「カイガラムシは水浴びや薬品ではなかなか退治できないため、手で取ってしまうのがベター。すぐに見つけて取ってしまえば広まりませんが、気づかずに放置しておくと広がってしまうことも。1匹でもついていればベタベタするため、よく観察して早めに対処しておきましょう」(江田さん) 虫が嫌う香りをかける 虫が嫌う香りをかけると、予防になります。自宅のなかで使用するからこそ、自分自身が不快にならない香りを選びましょう。 「防虫専用のアイテムでなくても、例えばアロマオイルを薄めたものを吹きかけるのも有効です。柑橘系のシトネールやラベンダー、ローズマリーなど、自分好みの香りを見つけられるといいですね。 虫はとにかく早期発見が鍵。毎日観察する習慣がつけば、被害を最小限に食い止められます」(江田さん) 春は新しいグリーンとの出会いのチャンス! 春は観葉植物の元気なスタートが切れる絶好のタイミング。初心者の方も、はじめるのにぴったりな時期です。新しい季節のはじまりに、心機一転グリーンを取り入れてみてはいかがでしょうか。 「ショップに出荷される観葉植物の数も、ゴールデンウィークあたりから一気に増えます。通年で販売されていますが、植木が健やかに育つ時期の方が、いろんな種類に出会えるチャンスも多いのではないでしょうか」(江田さん) 水やりに苦手意識がある方は、シダ類やエバーフレッシュなど水を好む植物がおすすめです。 「シダ類やエバーフレッシュは、水が好きな観葉植物。水が足りていないと垂れ下がるので、見た目で水の不足を確認しやすいのが特徴です。水をあげる数時間後にはわかりやすく上を向いてくれます」(江田さん) また、お手入れをしてもすぐに良くなるということはありません。長い目で見て、生活と共に変化を楽しむのが観葉植物と過ごす醍醐味の1つです。 「毎日観察していると、『いつもとは様子が違うな』と些細なことも気づいてあげられるようになります。早めの対処が鍵になるので、意識的に気にかけてあげましょう。植物の健康状態に合わせた適切な手入れをして、人も植物も快適に過ごせるとよいですね」(江田さん) 健やかに育てるためには、春からのお手入れが肝心。厳しい冬の寒さを乗り越えたの観葉植物の様子をよく観察しながらお手入れを行い、元気に育てるための準備を整えていきましょう。 お話を伺ったのは 江田俊子さん えだ としこ/住宅からショップ、オフィスまで、さまざまな空間でグリーンコーディネートを提案している。環境に合う植物選びにはじまり、希望のイメージのデザイン、その後の維持・管理まで担う。グリーンを楽しく育てるコツやノウハウを伝授することで、多くの人が植物に親しめるよう努めている。