「学校、行きたくない」わが子が“不登校”になった時…児童精神科医が考える“正解の道”とは
「正解」の道は、誰にも分らないからこそ…
子どもの不登校という壁にぶつかり、不安や焦燥感でいっぱい…そんな親御さんも多いのではないでしょうか? 【あわせて読みたい】子どもの不登校を”短期間で解決”させた親に共通する「4つの特徴」 でも、今は“再び学校に行けるようにする”以外にも、たくさんの選択肢が用意されている時代です。 そこで今回は、発達障害の不登校児を育てながら、YouTubeでも大人気の精神科医さわさん書籍『子どもが本当に思っていること』から、「私の人生の 『正解』を決めないで」というトピックスをご紹介します。 自身も不登校のお子さんを持つさわさんが、実体験を通していきついた「子どもが不登校になったとき、親にできること」とは? 「子どもの心の声がわかる本」から、自分の子どもにとっての“正解”を導きだしてみましょう。
子どもの心の声「私の人生の 『正解』を決めないで」
不登校の子も、8割が社会の中に居場所を見つける 現代は「少子化」と言われますが、不登校の子は毎年増え続けています。不登校は病気やケガ、経済的な理由以外の理由で年間30日以上欠席するということを指します。 クリニックにも、「子どもが学校に行けない」と悩んでいるお母さんが多数いらっしゃいます。 「学校に行くのが当たり前」と思っている親にとって、学校に行かないことに大きな不安を感じるのは当然です。 私も自分の子どもが不登校になって、将来どうなるのか不安がまったくないと言えば嘘になります。冷静に考えれば、学校に行っている子に比べて、社会で自立できない可能性もあるでしょう。 ですが、ある日突然、不登校になるわけではありません。 どの子も、最初は学校に行けたり行けなかったりする日が続いて、半年から1年ぐらいかけて不登校になるケースが多いです。 そして、実際には、不登校の子が全員そのまま引きこもりになるわけではありません。 文部科学省の調査によると、中学生のころに不登校だった生徒の約8割が、20歳の時点では進学や就労をしています(文部科学省による平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書「不登校に関する実態調査」より)。 学校に行けなかった子の多くが社会の中で居場所を見つけているのです。 だからこそ思う、子どもが不登校になったとき、親にできること。 不登校になったからといって、親は必要以上に不安にならず、まず子どもの気持ちに寄り添うことです。 「正解」は子どもが自分でつくっていくもの それに、今は不登校になっても、私の子ども時代にはなかった選択肢もあります。 私はクリニックにいらっしゃる方たちからいろいろ教えてもらうことも多いのですが、先日、不登校のお子さんがeスポーツ専門の高校に進学するという親御さんの話をうかがって、今はそんな選択肢もあるのかとワクワクしました。 プロゲーマーやプログラマー、ゲームアナリストなどのeスポーツ業界の人材を育てる学校ということで、ゲーム好きなお子さん本人だけでなく、ゲーム好きなお父さんも興味を持って一緒に学校見学に行ったそうです。 そんなふうに、自分の時代にはなかったけれども、新しくできた選択肢を親御さんが前向きに、子どもと一緒になって楽しみながら考えるという姿勢は、将来に対する漠然とした不安を感じている子どもにとって、どれほど安心につながることかと思います。 私は長女が学校に行けなくなったとき、「学校ってなんだろう」「仕事ってなんだろう」「教育ってなんだろう」「子育てってなんだろう」「母親ってなんだろう」などさまざまな視点で自問自答を繰り返しました。 さらに、自分自身の価値観を振り返り、あらためて、そのひとつひとつを見つめ直しました。 そうすると、子どもを自分の価値観にあてはめるのではなく、娘には娘の感性を大切にして、娘の価値観を育んでいってほしい、娘には真っ白なキャンバスを自分の色で染めて生きていってほしい、と思えるようになりました。 その結果、「この子が笑って生きているだけでいい」という結論にたどり着き、気持ちが楽になりました。 もちろん今でも、学校に行くことで得られる経験やメリットもたくさんあると考えています。 長女はオンラインスクールで勉強しているのですが、同年代の子とリアルで交流するこ とがないので、それが今後どういう影響をおよぼすかという不安はゼロではありません。 ただ、なぜか自分でもあせりは感じていないのですよね。 今日も長女は学校に行っていませんが、私も娘たちも、毎日笑ってすごしています。 子どものできない部分も受け入れること。なにかができるから価値があるとか、できないから価値がないと決めつけないこと。 それが、私たちの精神衛生上もっとも必要なことだと、自分自身や来院する患者さん親子をとおしても強く感じています。 人生の「正解」はだれにもわかりません。 さきほどの不登校から進学や就労した8割に入らない子もいますし、わが家の長女がどうなるのか、親の私にも予想がつきません。 けれども、長女にとっては学校というものがしんどそうでしたから、今はこれが「正解」だと考えるようにしています。 なにより、これから一緒に「正解」と思えるような人生にしていきたいと思うのです。 私にも人生の正解はいまだにわかりません。 でも、わからなくてもいいと思っています。 ただ、死ぬ前に人生を振り返ったとき、「いい人生だったなぁ」と感じることができれば、正解なのではないかと。 児童精神科医のつぶやき 『人生の「正解」はだれにもわからないから、「選んだ道」を正解にしていけばいいんです』