「ドル円」は当面もみ合い推移が続くものの、緩やかに上昇すると予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2024年5月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。
1.概観
【株式】 5月の主要国の株式市場は概ね上昇しました。米国株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が再び高まったことや、主要半導体銘柄の決算が市場予想を大きく上回ったことを好感して、月半ばに最高値を更新しました。欧州の株式市場も、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測や好決算が投資家心理を支え、ドイツDAX指数や英FTSE指数が月半ばに最高値を更新しました。日本の株式市場は、欧米の株式市場が最高値を更新したものの、国内企業の決算で示された慎重な24年度業績見通しや長期金利の上昇が重石となり、やや上値の重い展開となりました。中国株式市場は、中国当局の政策期待は続いたものの、相場上昇の反動もあり、上海総合指数が小幅安、香港ハンセン指数は小幅高となりました。 【債券】 米国の10年国債利回り(長期金利)は、米雇用者数や米消費者物価の伸びが鈍化したことを受けて、年後半のFRBによる利下げ観測が再び強まり、低下しました。ドイツの長期金利は、ECBによる6月会合での利下げが見込まれるものの、過度な利下げ期待が後退し、小幅に上昇しました。日本の長期金利は、日銀が追加利上げや国債買い入れの減額など金融政策の正常化を進めるとの見方が強まり、1%を超える水準に上昇しました。 【為替】 円の対米ドルレートは、月初に円買い介入とみられる動きで大きく上昇しましたが、その後は弱含み、前月とほぼ横ばいで終了しました。 【商品】 原油価格は、米国景気の減速感が意識され、原油需要が弱含むとの見方が高まったことなどから、大きく下落しました。
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