尊富士、2敗守りトップ1差追走 大谷翔平級「10時間以上」睡眠確保で勝負の後半戦へ
<大相撲九州場所>◇8日目◇17日◇福岡国際センター 110年ぶりの新入幕優勝を飾った春場所以来、4場所ぶりに幕内に戻ってきた西前頭16枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が、いよいよ勢いに乗ってきた。 東前頭13枚目竜電に立ち合いで左に動かれながら、一方的に押し出しで破り、今場所初の3連勝。6勝2敗とし、4人が並ぶ1敗のトップを1差で追走する。折り返しを迎えても1日10時間以上の睡眠を取る、大リーグのドジャース大谷翔平投手のような調整で余力十分の様子だ。 ◇ ◇ ◇ 変化さえも、まともにやらせなかった。尊富士は立ち合いで、竜電が左に動くと即座に反応。すぐに斜め右方向に軌道修正し、左を差して組み止めた。そのまま寄り立て、土俵際で粘る相手を最後は右のど輪で押し出した。まともに勝負することを避けた相手の奇襲も封じ、格の違いを見せつけた。「あまり覚えてないけど集中できていた」。本能でつかんだ白星だった。 尊富士は「肉体的にも、精神的にもお客さんがいて気を使う」と、心身の疲弊を隠さなかった。後半戦は「体のケアが大事」といい「とにかく寝ることを心掛けている」と明かした。睡眠時間は「昼寝を入れると1日10時間以上」。ドジャース大谷も同等の睡眠時間を確保し、高いパフォーマンスを維持。「いろんな意見があるけど、寝なきゃ始まらない。一生寝ていられる」と元気に大笑いした。 睡眠の質を向上させるために工夫も凝らしている。「自分は寝具というよりもにおい。アロマをたいている」。石にアロマオイルをかけて、部屋の個室に、リラックス効果のある香りを充満させると、熟睡できるようだ。兄弟子の横綱照ノ富士にも「とにかく寝ろ」と助言され、実践して好成績につなげてきた。各力士に疲労が色濃く出る後半戦。睡眠重視の調整が、効果を発揮することになるかもしれない。【高田文太】