川崎Fの中村憲剛が就任した「FRO」って何?
どのような形であれ、現役引退後も川崎に関わっていくと決めていた中村さんのなかで、関係や繋がりを意味する『Relation』と、主催者や幹事などを意味する『Organizer』を組み合わせた『FRO』が最もしっくり来たのだろう。会見のなかで中村さんは今後の抱負をこう語っている。 「フロンターレのこともそうですし、リレーションズと名がついているように人と人、人と会社、会社と会社を繋げる役割を担いつつ、幅広く活動していきたい」 新体制発表記者会見を前にして、すでに『FRO』としての活動をスタートさせている。今シーズンから川崎のトップパートナーになり、ユニフォームの鎖骨右部分にロゴを掲出するスマートデバイスメーカーの大手、アンカー・ジャパン株式会社(本社・東京都千代田区、井戸義経代表取締役)の特別アンバサダーに就任し、川崎と同社が行った14日のオンライン記者会見に登壇している。 配信された動画のなかで「引退後で初めての仕事なので、全力で頑張りたい」とコメントした中村さんは、以前から同社のモバイルバッテリーやワイヤレスイヤホンなどを愛用していた。『FRO』が担う役割のひとつ、会社と会社を繋げる仕事をすでに果たしたことになる。 19日には「川崎市の2021年ブランドメッセージポスター」へ起用されることも決まり、同市の福田紀彦市長とともに記者会見に臨んだ。新たな道を歩み始める中村さんと、2024年の市制100周年へ向けてさまざまな取り組みを進めていく川崎市の方針が一致しての抜擢は、同じく『FRO』が謳う人と会社、ここでは川崎のファン・サポーターを含めた市民と自治体とを繋げる役割を担う。 ガンバ大阪との元日決戦を制し、明治安田生命J1リーグに続く国内二冠獲得という大団円でユニフォームを脱いだ中村さんは、万感の思いを込めながらこんな言葉を残している。 「本気の本気で、今日で終わりなんですね。いまはまだ実感がありませんけど、この先、日を追うごとに実感していくんじゃないかな。自分は止まるけど、周りがどんどん進んでいくから」 3週間あまりがたった23日に行われた新体制発表記者会見は、川崎でひとつの時代が終わったことを実感させた。象徴としてきた「14番」が空き番と発表されたなかで、中村さんは「元プロサッカー選手」のテロップとともに第2部に登場。先駆けて行われた第1部では5年目の指揮を執る鬼木達監督が、史上初となるJ1リーグとACLのダブル優勝を2021シーズンの目標に掲げた。 そして、第1部で紹介された新加入選手が第3部で個別に順次登場し、会見のMCを務めたフリーアナウンサー、西岡明彦さんとのトークショーを行う。3時間あまりにおよんだ盛りだくさんな内容が次のステージへ進む川崎を物語っていたなかで、中村さんも元日にこう語っていた。