狙い目は「新卒入社5~10年」か いま若手社会人めぐる「キャリア採用争奪戦」激化中
ベンチャーへの転職は「交渉次第で高給も」
また、Aさんによると、大手出身者は大手に転職するかと思いきや、納得できるキャリアアップが図れれば、中堅企業や中小ベンチャーに転職する場合もあるという。 「東証グロース市場に上場している会社などであれば、規模の小ささはあまり気にならないみたいですね。そればかりか、場合によっては未上場のスタートアップに転職する人もいます。まあ30代前半であれば一度失敗しても、すぐにまた転職すればいいのですが」 この傾向は、エン・ジャパンが運営する若年層向け転職サイト「AMBI(アンビ)」の調査結果とも一致する。 やや古いデータだが、2021年4月から9月までに大企業からスタートアップに移った件数は、3年前の同月比で7.1倍に増えた。全体の転職者数の伸びである3.8倍を大きく上回り、全体に占める割合も約8%から21.4%へと大きく上昇している。 Aさんは、経営の安定性が低すぎるスタートアップは、自分の候補者に勧めていないとしつつ、大企業を辞めて一度経験してみたいという人が少なくないのは事実だという。 「ベンチャーやスタートアップの魅力は、体系的な給与テーブルもないので、経営陣と交渉すれば、年齢に関係なく高給が得られる可能性があることですね。もちろん翌年には会社が傾いて、なんてこともあるわけですが...。大手に勤めているうちにお金を貯めたり資金を作ったりして挑戦している人には、大きな痛手にはならないようです」 それよりも、Aさんが堅実なキャリアアップの方法として勧めるのは「異業界・同職種」への転職だ。職場としては新しい環境になるが、仕事には継続性がある。大手での実績は売りになるし、自分の力を別な環境で試すことにもなる。 「たとえば、大手法人営業の経験のある若手社会人を、SaaS企業が雇いたがるケースは多いです。やはり、大企業に対する提案書の作り方や、プレゼンの仕方、担当者との関係づくりなどは、大企業出身者はツボを心得ているという感じで強いです」