和楽器バンド・山葵さん(35)が「大腸がん」を公表 早期発見の方法や検査を医師が解説
大腸がんの治療法
大腸がんになった場合は、どのような治療法があるのでしょうか。大きく3種類に分けて説明します。 「外科治療」 がんの深さが粘膜・粘膜下層にとどまり、サイズが小さい場合に行われるのは内視鏡でがんを切除する治療です。 内視鏡での治療ができなくても、手術で取りきれる時には手術を行います。がんの状態やできる場所によっては、手術前に放射線治療や薬物療法を組み合わせてがんを小さくしてから手術をする場合があります。 「薬物療法」 転移があって手術ができない場合は主に薬物療法での治療が行われます。手術を行った場合も、がんのステージに応じて術後補助化学療法を行います。薬物療法は抗がん剤や分子標的薬を組み合わせ、点滴や飲み薬を使う治療です。 先にがんの遺伝子を調べると、ある程度薬の効果を予想できる場合があります。また、近年は薬物療法を外来で行うことができるため、入院せずに普段どおりの生活ができるようになりました。 「放射線治療」 放射線治療は、特に直腸がんにおいて再発防止目的やがんを小さくする目的の場合には化学放射線療法といって化学療法との併用が一般的です。 また、脳や肺の転移が小さい場合や、再発病変が再切除できない場合に放射線治療で治療します。ほかには、症状の改善のための緩和目的でも行われます。
大腸がんを早期発見・予防するためのポイント
大腸がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなる病気です。早期に発見することで治癒の可能性が高くなるので、検査を受けることが重要です。 「便潜血検査」 便に血が混ざっているかどうかを調べる検査です。便検査なので簡易的にできるのがメリットです。一般的に健康診断や人間ドックでも広く行われています。 ただし、便潜血検査は出血が少ないと反応しませんので、がんのできる位置やサイズによっては見逃すことがあるのがデメリットです。 「大腸内視鏡検査」 大腸内視鏡検査をするとポリープも含めて細かく観察可能です。大きいポリープがあれば切除できるため、ポリープから発生するがんもごく初期のうちに治療できます。粘膜から発生する薄いタイプのがんも、症状が出る前の早期に見つけて処置することが可能です。 大腸内視鏡は検査の前処置として下剤の内服が必要です。また、腸が長い方や癒着のある方は苦痛を伴う場合があります。 「腹部のCTやMRI」 CTやMRIはがんの場所リンパ節転移・遠隔転移などを探すために使われます。一方で、大腸がん検診として大腸CTを行っている施設もあり、内視鏡が苦手な方はCTでのがん検診もできます。内視鏡よりも前処置が少なく済み、痛みなく検査できるのがメリットです。 ただし、大腸CTも放射線を使って断層写真を撮るため被爆があります。また、6mm以上のポリープは発見できますが、丈が低いがんは見つかりにくいのがデメリットです。 「生活習慣の見直し」 大腸がんを予防するためには、毎日の生活を整えることも大切です。 ・肉に偏らず魚も食べる ・運動する習慣をつける ・1日に必要な野菜をバランスよく食べる ・カロリーの摂りすぎに注意する ・タバコはやめる ・お酒は適量にする これらのことに気をつけると、がんの発生をある程度減らせるかもしれません。ただし、可能性はゼロになりませんので定期的に大腸がん検診を受けましょう。