20歳女子レーサーがダットサン「フェアレディ」で旧車レース初体験! 予選で堂々のクラス1位を記録して臨んだ決勝は…?【令和女子旧車に乗る_番外編】
赤旗中断は逆襲のチャンス! ところが……
「巻き返して絶対勝つ! 正直(ポジションも)戻れると思っていました(笑)」 すでに最後尾となった佐々木さんであったが、走り出してからはすぐに数台をパス。4周目での赤旗中断も、前車との距離が縮まるのでチャンスと見ていた。 「コース上で再開を待っている間は、何度も前のクルマの台数を数えていました。再開後は何周かわかりませんでしたが、1周に2台は抜いていけばなどシュミレーションはしていました」 コース脇に停まった2台が回収されて再スタートと思われた時に、ポストから再び赤旗が掲示された。並んでいた間に2台のマシンがオーバーヒートしたのだ。そのうち1台はゼッケン38佐々木さんのSRだった。 「何が起きてるか分からず、オフィシャルさんにコースから出してもらっている時に水温計を見たら上限の赤テープを針が越えていて、やってしまった……と理解しました。もしかすると、この後の耐久も終わりにしてしまったか!? と悔しい気持ちでいっぱいになりました」 幸いリザーバータンクから水を噴出しただけでダメージのなかった38号車は、次の耐久レースで無事にグリッドにつくことができた。 「スプリントレースは自分で台無した分、耐久はしっかり勝ちに繋がるレースをしようと思ってました」
トラブルに見舞われた耐久レースは辛くも完走
迎えた「CRAZY KEN TROPHY60分耐久」レースは5番手からのスタート。スプリントとは違いエンストはなかったものの、前車とタイミングが合わせられずに失速気味にスタートしたという佐々木さん。 「前との差が広がる一方かなと思いつつ、やっぱり勝ちたいという気持ちもありましたが、次の大村さんに繋ぐことを考えながら走りました」 1分7秒台で走るなどコンスタントに周回を重ね、無事に大村さんへとステアリングを渡す。順調に周回を重ねていた大村さんに、佐々木さん、チームメイトも笑顔でいたピットであったが、突然のアナウンスに一同驚くことになる。 1コーナーで姿勢を崩した大村さん、スポンジバリアへ右フロントをヒット。いわゆる鬼キャン仕様のようになった38号車SRフェアレディであったが、走行可能と判断しピットへ戻った時は、予定通り佐々木さんへの交代のタイムであった。 「周回しているマシンを見て悔しさはありましたが、まずは無事に回ってきてと見守っていました。ピットで交代する時、最初はまじか! と思いましたが(笑)、自分が走らせてきたマシンでもあるので、最後までもってほしいという願いはありました」 結果、60分耐久レースはクラス13位、総合14位でのチェッカーとなったが、ともあれ完走を果たすことができた佐々木さん&大村さんのSRフェアレディだった。
「キャブ車への理解と知識を広げていきたいです」
佐々木さんにとっては、苦い経験もあった初めてのヒストリックカーレース、感想を最後に聞いてみた。 「小さい頃から見てきたクルマたちと一緒に走りレースができるなんて素直に嬉しいです! SPSROCとのご縁も感謝しかありません。実況の方にも名前を呼んでもらったのも嬉しいです(笑)。キャブ車への理解と知識を広げていきたいです。今回はスタートで全てを失いました。次戦はスタート後のレースをしていきたいです」 次期シーズン開幕となる2025年4月には、それらを克服しているであろう佐々木さんに期待応援しようではないか。
奥村純一(OKUMURA Junichi)
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