失敗しないための結婚に不可欠、未来の収支報告書づくり
■ 未来の変化への備え ライフイベントがもたらす揺らぎを完全に防ぐことはできません。 しかし、事前にその可能性を想定し、夫婦で話し合いながら準備を進めることで、影響を最小限に抑えることが可能です。 1. 将来発生するライフイベントを想定し、共有する 夫婦の未来には、出産、転勤、職場復帰、子供の独立、親の介護など、さまざまなライフイベントが発生します。 これらは夫婦の実情や人生設計に応じて異なり、そのタイミングや内容を事前に話し合うことが重要です。 あらかじめ共有しておくことで、突然の変化による衝突や混乱を最小限に抑えることができます。 2. ライフイベント発生時の影響を予測する 各ライフイベントが発生した際に、夫婦関係にどのような影響を及ぼすかを具体的に予測します。 その際、夫婦関係を6つの分類(心のつながり、お金のつながり、時間とのつながり、子供とのつながり、親族とのつながり、世間とのつながり)で整理し、資産と負債がどう動くかを検討します。 これをバランスシート形式で視覚化し、影響度を整理することで、より現実的な準備が可能になります。 3. 夫婦全体のバランスシートへの影響を見積もる 各分類ごとに資産・負債、それぞれの増減を合算し、夫婦関係全体のバランスシートが改善に向かうのか、悪化に向かうのかを見積もります。 夫婦関係の全体像を把握することで、次に取るべき行動の優先順位が明確になるでしょう。 4. イベント発生前に対処できることを考える 全体のバランスシートが悪化方向に向かいそうな場合、以下の視点で具体的な対策を検討します。 ●イベントが短期間に終わるかどうかを見極める そのイベントの影響が一時的なものであれば、長期的な夫婦関係に大きなダメージを与えずに済む可能性が高いでしょう。 例えば、転勤が1~2年で終わると見込める場合には、短期的に夫婦が離れて生活する選択肢も良いかもしれません。 ●イベントの運営方法を見直す ライフイベントそのものを避けられない場合でも、実施方法を工夫することで負担を軽減できます。 例えば、出産後の家事、育児の負担でバランスを崩してしまうような場合には、家事代行や保育サービスの利用が負債の増加を抑制してくれる可能性があります。 ●イベントの実施そのものを再検討する イベントそのものを根本的に見直し、中止や延期を含む選択肢を検討することで、負担やリスクを軽減する場合があります。 これは、イベント自体が夫婦関係や生活全般に与える影響が大きすぎる場合に有効です。 例えば、転勤が夫婦関係や育児に大きな負担をかけると判断される場合、会社に在宅勤務や転勤の辞退を相談する、あるいは転職をすることで転居を回避する検討をしてもいいかもしれません。
■ 未来に向けた夫婦の経営 夫婦関係のバランスシートは、現状を見える化するだけでなく、将来のライフイベントによる変化を予測し、備えるためのツールとしても活用できます。 これにより、予期せぬ揺らぎに慌てることなく、冷静に対応できるようになります。 夫婦関係のバランスシートを定期的に見直し、ライフイベントごとの影響を想定しておくことで、予期せぬ変化にも冷静に対応できます。 こうした準備が、未来に向けて夫婦の絆をより強固なものにするカギとなるでしょう。
加藤 哲雄