天皇陛下64歳誕生日会見(全文) 能登半島地震の犠牲者に哀悼の意 ご家族への思いも
天皇陛下64歳誕生日会見 能登半島地震の犠牲者に哀悼の意 ご家族への思いも(映像提供:宮内庁)
天皇陛下は23日、64歳の誕生日を迎えられた。それに先立ち記者会見を行い、1月1日に発生した能登半島地震の犠牲者に哀悼の意を表し、遺族と被災者にお見舞いを述べられた。また、ご家族への思いなども語られた。記者会見の全文は以下の通り。 【動画】天皇陛下64歳に 能登半島地震の犠牲者に哀悼の意 ご家族への思いも
能登地域は学生時代に訪れて思い出深く思ってきた地域
幹事社:宮内記者会の幹事を務めております。NHKのハシモトと申します。天皇陛下におかれましては、64歳の誕生日を迎えられますこと、記者会一同、心よりお喜び申し上げます。 天皇陛下:どうもありがとう。 幹事社:また、本日はこのような記者会見の場を設けていただき、深く感謝申し上げます。陛下のお考えやお気持ちを直接うかがえることは大変貴重な機会であり、それをしっかりと受け止め、伝えることが私たちの大切な役割だと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 天皇陛下:どうぞ。 幹事社:この1年、明るい話題があった一方、新年には能登半島地震が発生し、多くの方が亡くなり、避難生活を余儀なくされています。この1年を振り返って印象に残る出来事をお聞かせください。 天皇陛下:年明けからまもない今年の元日の夕方に発生した能登半島地震は、お正月に家族で集まっていた多くの家庭を襲い、大勢の方が亡くなり、またけがをされたり、住まいを亡くされたりしました。 今回の地震に見舞われた能登地域は、雅子も私もそれぞれ学生時代に訪れて思い出深く思ってきた地域であるとともに、昨年10月に2人で揃って金沢市を訪問し、県民の皆さんに温かく迎えていただいたことが特に心に残っており、その石川県において多くの方が犠牲となられ、今なお安否が不明の方がいらっしゃることや、避難を余儀なくされている方が多いことに深く心を痛めております。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いをお伝えいたします。
復旧などに取り組んでおられる皆さんに心からの感謝をお伝えしたい
冬の寒さが続く中、また、特に地震発生からしばらくの間は、ことのほか厳しい環境の中で、多くの被災者の方が避難所での生活を続けてこられており、長期化する避難生活において高齢の方々などの病気が悪化したり、体調を崩されたりすることが案じられます。 今回の地震では、半島地域において道路網が寸断したため、救出・救助活動が難しくなっており、孤立集落が発生したりしました。水道施設の復旧が難しく断水が長期に渡っており、非常に不便な生活を強いられている方も大勢おられます。 このように厳しい状況の中で、救出・救助活動や救援物資の提供、被災者の医療、健康支援、ライフラインの復旧などに日夜懸命に取り組んでおられる皆さんに、改めて心からの感謝をお伝えしたいと思います。 また、発災直後から数多くの専門ボランティアやNPOが被災地で活動を開始し、被災された方々の様々な支援にあたっています。きめ細かい支援の大切さを感じるとともに、被災地においてこれらボランティアやNPOの活動をされている方々の尽力も大変ありがたく思います。 様々な困難な状況が続いていますが、今後、多くの人々からの支援を得て、復旧・復興が順調に進んでいくことを心から願っています。今回の地震により、能登地域独自の伝統的な文化や産業も大きな被害を受けました。地域の歴史文化、伝統産業は、そこに住む皆さんの心のよりどころとなってきた大切なものだと思います。伝統技術を受け継ぐ若い人々の力を得ながら、長く受け継がれてきた伝統文化を守り、継承していくための支援も大切であると思います。 被災地にお見舞いにうかがうことについては、私としては、現地の復旧の状況を見つつ、被災者の皆さんのお気持ちや、被災自治体をはじめとする関係者の考えをうかがいながら、訪問できるようになりましたら、雅子とともに被災地へのお見舞いができればと考えております。