「大腸がんの早期発見」のために! 「便潜血検査」を受けるメリットを医師が解説
検査後に取るべき行動とは?
編集部: 便潜血検査の結果はどのような形で出るのでしょうか? 鈴木先生: 便潜血検査の結果は通常、「-」または「+」で報告されます。2日法では「-,-」「-,+」「+,-」「+,+」の4パターンになりますが、1回でも陽性が出れば全体としては陽性と判断します。 編集部: 便潜血検査が陽性の場合、次に取るべき行動について教えてください。 鈴木先生: 陽性の結果が出た場合、通常は次の検査として大腸内視鏡検査がおこなわれます。CTコロノグラフィや大腸造影検査がおこなわれることもありますが、これらで異常が見つかった場合も診断を確定するために大腸内視鏡検査が必要になります。もう一度便潜血検査をおこなうことは無意味なのでおこなわないでください。 編集部: 詳しく教えてください。 鈴木先生: 健常な方が便潜血検査を受けると約5%の方が陽性となりますが、がんが見つかるのはそのうち約3%です。つまり陽性となってもほとんどの方はがんではありません。しかし、陽性で大腸内視鏡検査を受けた方の30~50%にポリープ(腺腫)が見つかります。大腸がんは、腺腫が数年の経過で進行して形成されることが多いと言われています。欧米では5mm以下であってもすべての腺腫を内視鏡的に切除することで大腸がん発生が70~90%抑制できること、大腸がんによる死亡を約50%抑制できることが報告されています。 編集部: 便潜血検査が陰性の場合、次に取るべき行動について教えてください。 鈴木先生: 陰性の結果が出ても、特定の疾患や病気を完全に除外できるわけではありません。便潜血検査は、感度(大腸がん患者を「がん」と判定できる割合)が約50~60%、特異度(大腸がんでない人を「がんがない」と判定できる割合)が約90%とされています。つまり、便潜血検査は大腸がんのスクリーニングに適していますが、陰性の結果が出ても、必ずしも大腸がんがないとは言い切れません。よって、毎年受けることが大事になります。