「大腸がんの早期発見」のために! 「便潜血検査」を受けるメリットを医師が解説
便潜血検査の精度を上げるためには?
編集部: 痔がある場合でも、便潜血検査を受ける意味はあるのでしょうか? 鈴木先生: 痔がある場合でも、便潜血検査をおこなうことで、痔以外の出血性疾患(大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患など)からの出血を確認することができるので、便潜血検査は一定の意味があります。 編集部: 便潜血検査をするタイミングとして、不適切なタイミングはありますか? 鈴木先生: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗血小板薬は便潜血検査の結果に影響を与える可能性があるので注意が必要です。その他、女性の場合は生理中に微量の血液が便に混ざってしまう可能性があります。検査のタイミングに関して疑問がある場合は、医師と相談して最適なスケジュールを確認しましょう。 編集部: その他、便潜血検査を受ける上で、私たちが気を付けることはありますか? 鈴木先生: 血液は糞便中に均等に混じっているわけではないので,数か所から採取します。少なすぎても多すぎてもダメなので、説明書に書いてある適切な量にしてください。採取した便は直ちに冷暗所で保管します。これは腸内細菌によりヘモグロビンが分解されるためで,室温で保存すると1日放置しただけでも偽陰性となることがあるので、特に夏場の保存には注意してください。
編集部まとめ
「便潜血検査」は大腸がんの死亡率減少に寄与し、大腸ポリープや炎症性腸疾患などの疾患が見つかる場合もある重要な検査であると教えていただきました。検査結果が陽性の場合、大腸内視鏡検査を受ける必要があるとのことです。一方で、検査の特性上あくまでもスクリーニングに適した方法のため、もし結果が陰性でも毎年「便潜血検査」を受けることが推奨されるようです。本稿が読者の皆様にとって、「便潜血検査」の意味や大腸がん予防を学ぶきっかけとなりましたら幸いです。
【この記事の監修医師】
鈴木 英雄 医師(つくば消化器・内視鏡クリニック) 1994年筑波大学医学専門学群(現・医学群医学類)卒業。専門は消化器内科、医学教育。2003年に株式会社メディシス設立に携わる。2006年テキサス大学M.D. Andersonがんセンター客員助手。2021年筑波大学附属病院つくば予防医学研究センター部長、病院教授。2023年7月につくば消化器・内視鏡クリニックを開院し現職。医学博士。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、日本消化器がん検診学会認定医・総合認定医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医など。
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