新型コロナ禍に奪われそうなマジョルカ・久保建英と巨人・坂本勇人の最年少記録
通算2000本安打達成まであと116本に迫っていた坂本は、早稲田実業から毎日オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に加入した1955年にいきなり146安打を放つなど、安打製造機の異名とともにNPB史上で最年少となる31歳229日で大台に到達した榎本喜八(故人)の記録を抜く可能性をもって今シーズンを迎えた。 レギュラーに定着したプロ2年目の2008シーズン以降の12年間で、最も少ない年間安打数で129安打だった軌跡が物語るように、坂本はコンスタントに数字を積み重ねてきた。昨シーズンには自己最多の40本塁打を含めて173安打をマーク。1988年12月14日生まれの坂本が7月29日までに大台に到達すれば、榎本が1968年7月に樹立した記録を52年ぶりに更新できた。 昨シーズンの坂本が116安打目を放ったのが93試合目だった。今シーズンの日程は当初、3月20日の開幕から7月18日までに公式戦99試合が行われる予定だった。オールスターゲーム2試合を終えた後は、東京五輪のために8月13日までペナントレースを中断させるスケジュールが組まれていたのでギリギリの挑戦でもあった。 「入団したときからは想像もつかない数字がいま、現実的にあと少しというところまで来ています」 オフの段階からこう語っていた坂本の調子や雨天順延の有無などを含めて、記録更新へ向けてハラハラ、ドキドキの展開が待っているはずだった。しかし、坂本自身もPCR検査で陽性反応を示してしまった新型コロナウイルスがすべてを一変させた。最終的には3カ月遅れの今月19日に開幕を迎える現状では、7月29日までの1か月強、約35試合で116本ものヒットを重ねるのは奇跡に近いだろう。 サッカー日本代表とプロ野球で歴史が変わる瞬間が訪れる可能性は難しくなった。それでもファンが待ち焦がれてきた、スポーツを楽しめる日常は戻ってくる。