欧州よりも日本が「だいぶいい」 日本人MFが体験したリアル「家族には来てほしくない」【インタビュー】
川辺駿が見た日本のサッカー環境は「かなり整っていていい」
J1リーグ第34節を終えて首位に立っているサンフレッチェ広島で、シーズン後半戦の躍進を支えている1人が、今夏に欧州でのプレーから復帰したMF川辺駿だ。スイス、ベルギーで3シーズンを過ごしたが、日本と欧州におけるチーム内での評価や信頼の勝ち獲り方、そしてホームとアウェーにある意外な部分での差を話した。(取材・文=轡田哲朗/全4回の3回目) 【写真】「きれいな字!」 J助っ人、努力の跡がにじむ“日本語勉強ノート” ◇ ◇ ◇ 川辺は地元・広島の出身で下部組織から育ってトップチーム昇格。ジュビロ磐田への期限付き移籍も挟みながら活躍してきた。2021年夏にスイス1部グラスホッパーへ移籍すると2シーズンを過ごし、ベルギー1部スタンダール・リエージュでも1シーズンを戦って今夏に広島へ復帰した。スイス、ベルギーでの3シーズンすべてでレギュラーを獲得してフル稼働し、中盤の選手としては十分な数字と言える7ゴール、9ゴール、7ゴールとコンスタントに結果を残してきた。 川辺は「1点を取るごとにチームから、特に選手は信頼をもろに表現してくれる」と、ある意味では分かりやすい部分があったという。そして「監督もそうだったけど、活躍すればするほど信頼されていって、自分もそれに応えたいという思いでの相乗効果で良くなっていったと思う。走ればボールが出てくるし、信頼している選手しか見ていないと感じた。だからこそ最初は信頼を得るまでが大変だったけど、それはボールが出てこないとかでなく、ボールは出てくるけど、信頼している選手のほうがもっと来るというイメージですね。信頼をされるようになってからが楽しいではないけど、ポジションも1つ前のインサイドハーフやトップ下だったので自由にやらせてもらった」と話す。 一方で、必ずしもすべてにおいて“欧州が上”というわけではないとの印象を口にする。特にスタジアムでの環境面は、日本と欧州の間に違いがあると話す。 「サッカーで言えば日本の環境は整っていて、だいぶいいと思う。ヨーロッパのトップクラブに行けば差はないかもしれないけど、ある程度のクラブは、環境が整っていないわけじゃないけど、日本ほど整っていない。用具や芝生など選手をサポートするような環境が日本は手厚いと思う。ただ、リエージュはすごく整っていた。国内でもビッグクラブですから。でも、アウェーに行った時のロッカールームは違いましたね。ホームチームはいいけど、アウェーチームのものはすごく簡易だったりする。そういう環境もあっちでは当たり前だと思う。それもまた自分が経験して成長できた、鍛えられた部分だった」