1970年「大阪万博」から約半世紀を経て“人間洗濯機”が復活!?「サイエンス」が世界へ!
「サントリー」のグループ会社「ダイナック」が経営する「アリーズバー」(東京・中央区)の店長・中田亮平さんは、「アイラウイスキーという香りの強い酒のグラスは、通常かなり時間をかけて洗わなければならないが、今はファインバブルで5~6秒さっと流すだけで完全に香りが取れている」と話す。 「ダイナック」では、グループ全店で「ミラブル」を導入し、洗い物の手間を省くだけでなく、水や洗剤の節約にもつながっていた。 大阪公立大学の構内のラボでも、ウルトラファインバブルを直接レタスの根にあてて栽培している。微細な泡で刺激することで食味が増し、収穫量も約2割アップしたそう。 植物工場研究センター長の北宅善昭さんは、「安定的に生産量を高く維持するためには面白い技術」と話す。
この泡の技術を駆使し、「サイエンス」が次に挑むのが万博だ。 1970年の大阪万博で「三洋電機」が出展した人間洗濯機の前には、連日、大勢の見学者が押し寄せた。その中に、当時小学4年生だった「サイエンス」青山恭明会長(63)がいた。 青山さんは、「母親に“血が出るまでこすって洗え”と言われていた時代。カプセルに入ったら勝手にきれいになる…そんなバカな、あり得ない。親にねだって、会期中に20回近く行った」と話す。 あれから半世紀。「大阪で万博が決まった瞬間、なんの迷いもなかった。泡の技術を応用してお風呂を作れば、本物の人間洗濯機ができるのでは。あの時の僕の気持ちのように“将来どうなるんだろう”と思わせるような、ミライ人間洗濯機をどんなことがあってもやる」。
そんな青山さんが、13年前、直々にスカウトしたのが、専務で“泡の魔術師”と呼ばれる平江真輝さん(47)だ。平江さんは、「泡は見過ごされていた技術で、うまく使うと環境的にも生活の中でも有効的。私たちの技術で、世界を『あっ!』と言わせたい」と話す。
かつて、造船関連の会社で働いていた平江さんは、今とは真逆で泡を消す仕事をしていた。船のスクリューの模型に水を流すと、大量の泡が発生。「これが船の速度を落としたり、摩耗したりする原因になる。泡は元々敵だった。邪魔で仕方なかった」と平江さん。 そこで平江さん、先ほどの模型を分解し、スクリューに手を加える。再び装置を起動すると、水を流しても、今度は泡が目立たない。スクリューの角度を浅くし、抵抗が発生しないようにしたためだ。