1970年「大阪万博」から約半世紀を経て“人間洗濯機”が復活!?「サイエンス」が世界へ!
そんな平江さんが中心になって進める「ミライ人間洗濯機」のプロジェクトには、前回の万博で人間洗濯機の開発に携わった、元「三洋電機」の社員も顧問として参加している。 打合せは月に1度程度だが、細かい技術面やデザインにもアドバイスが入る。「過去を知らない私たちが、『実際どうだった、こうだった』と教えてもらえるのは、何よりの武器」と平江さん。 今回のプロジェクトでは、「サイエンス」の商品、浸かるだけで泡が汚れを落とすという「ミラバス」を進化させ、人間洗濯機を開発。入浴中に映像や音楽を流してリラックス効果を高め、“心も洗えるお風呂”を目指すが、いくらリラックスできたとしても、それを数値として裏付けることができなければ、説得力がない。
そこでカギを握る人物が、「サイエンス」と共同開発する大阪大学 産業科学研究所の神吉輝夫准教授。湯船の中で心拍が測れる装置の開発を依頼された。 まずは100円ショップで買ったアルミの皿を使い、自宅の浴槽で背中から心拍が取れるかどうか、体を張ってテストする。すると、お風呂の中で正しい心拍を測定することができた。神吉さんは、「ここからどう解析するか…研究者の腕の見せどころ」と意気込むが、試行錯誤の日々は続いた。 一方、「サイエンス」の平江さんは、万博の会場で、“究極のリラックス”に導く癒しの映像をどう映し出すか…思いを巡らせていた。 「“展示”というキーワードを考えた時、すごい技術、将来こういう風になっていく。こうなったら使いたいと思わせる見せ方が重要」。実は「サイエンス」の万博出展の裏には、野心的な戦略があった。 8月7日の創立記念日。会長の青山さんは社員を前にして、「2025年、大阪・関西万博の出展企業として、世の中に新たなイノベーション(技術革新)を起こし、この万博を機に、世界に一歩踏み出していく」と宣言する。虎視眈々と、海外市場を狙っているのだ。 「特にファインバブルの技術は、日本が世界の中で断トツにリードしている。もう一度、技術大国ニッポンの底力を世界に示したい」。 そこで、今回ターゲットの一つに定めたのが、シャワー文化の国、オーストラリアだ。