日本一のラーメン店「飯田商店」が、ロンドンの王室御用達レストランで英国セレブたちを唸らせた!
麺はさすがに日本で製麺したものを持ちこんだそうだが、スープはロンドンで仕込んでいるという。 「スープはここ(ロンドン)に来てから仕入れた豚と鶏でとっています。当然、日本の三元豚(さんげんとん=3品種の豚を掛け合わせた豚)などとは豚の種類も肉質も違いますから、当初は『どうなるかなあ』と不安もあったのですが、仕入れた豚は掛け合わせなどではない純粋の『デュロック種』なので、ものすごく味が濃い! これぞ豚、という濃厚なダシがとれました。動植物は検疫に引っかかるので、豚や鶏も日本から持ち込めずスープにもチャーシューにもこの豚をつかったのですが、うまくいきましたよ。そこに、日本でもつかっている醬油ダレがいい感じにハマったと思います」 コースのメイン料理のひとつとしてラーメンがサーブされると、セレブたちは一様に驚き、いっせいにスマホを手に写真を撮り始める。ヨーロッパにもラーメン店はたくさんあるが、とんこつラーメンが主流だそうで、初めて目にする“ホンモノ”の醤油ラーメンに、皆大はしゃぎだ。それを眺めている日本人としては、ついつい「ラーメンは繊細な食べ物。のびちゃう、早く食べて~」などと思ってしまうが……。 「初めて見る醤油ラーメンにびっくり、という感じなんでしょう」と飯田さん。そして、おずおずとラーメンを食べ始めるセレブらを見て、手応えを感じたようだ。 「皆さん、食べてびっくり!みたいな顔をされていますね。最初は醸造された醤油の“豆の香り”に戸惑う方もいたようですが、口にしたとたん、笑顔になってくれました」 たしかに、アッという間に醤油ラーメンの皿は空になり、お代わりする人もあらわれた。ここにいる全員が、その味に満足しているようだ。
ニッポン代表とイギリス王室寵愛シェフたちが、究極のもてなし合い
「皆さんにおいしく食べてもらえたようです。よかった!」 そう語る飯田さん、渡邉さん、弟子たちは、セレブたちのディナーの後、モシマンズのバックヤードで同店自慢のコース料理を試食した。セレブ用ディナーと同時につくられたものだから、少し冷めたりはしているものの、サーモンのタルタル、とろけるような極上ステーキ、トリュフ香るリゾットなど英国最高峰のメニューを、紳士の国ならではのスマートなサーブとともに味わった。 「歴史と伝統を守り続けてきた、洗練の極みという感じですね。いろいろな文化を取り入れて発達してきた『型』を守った、芯のある料理です」