差別や偏見に配慮 障害福祉DBの第三者提供を議論
匿名化した障害福祉、障害児福祉データベース(障害福祉DB)を研究者などの第三者に提供する際のガイドラインについて、厚生労働省、こども家庭庁による専門委員会が9月18日に議論を始めた。基本的に先行している医療、介護分野のガイドラインに倣うが、研究成果について障害児・者数が少ないため個人を特定できるときは公表を認めない場合があること、差別や偏見につながらないよう配慮することなどが論点に挙がった。 障害福祉DBは2022年12月成立の改正障害者総合支援法に基づき、23年4月に運用を開始。受給者、事業所などの台帳、給付費等明細書、障害支援区分認定の各データを匿名化した上で格納し、データを分析して適正なサービス運営に生かすことができる。NDB(匿名医療保険等関連情報データベース)と連結研究すれば精神疾患の病状に応じた必要な障害福祉サービスの分析ができ、介護DBとの連結研究では高齢障害者の介護保険移行後のサービス利用実態の分析なども可能になる。 ガイドラインは、データ提供を受けた第三者が守るべきルール、手続き、審査基準を定める。同日は論点として、ほかに研究の具体例を記載すること、障害福祉サービス事業所番号は原則提供しないことなども挙がった。 データ提供を受けたい第三者は事務局に事前相談し、専門委員会が公益性、データの範囲、差別や偏見につながらない配慮などの観点から提供前審査をする。研究成果の公表前も事務局が審査する。 ガイドラインの施行は同法の公布日から3年を超えない範囲内で政令で定める日とされており、25年12月1日となる予定。それに向けて25年度に模擬審査を行い、ガイドライン案を確定し、厚労省の障害者部会、こ家庁の障害児支援部会の承認を得る。