世界陸連、国際バレーボール連盟もロシア・ベラルーシの国際大会からの除外を決定…世界選手権のロシア開催取り上げも
世界陸連(ワールドアスレティックス)は1日、ロシアとベラルーシの選手や関係者を国際大会から除外することを決定した。英デイリーメール紙によると、4日からオマーンで始まる世界競歩チーム選手権、18日からベオグラードで行われる世界室内選手権、そして7月に米オレゴンで行われる世界選手権への出場も禁止されることになる。 世界陸連は、ロシアの国家ぐるみのドーピング違反が発覚した2015年からロシア陸上連盟を資格停止処分としていたが、違反のない選手は「中立選手」として個人資格での出場を認めていた。五輪でロシア・オリンピック委員会としての出場が認められているのと同じパターン。だが、今回の処分は「中立選手」も含む全選手の出場を禁じるものとなった。 世界陸連のセバスチャン・コー会長は「世界は、ロシアがベラルーシの助けを受けて行っていること(ウクライナへの軍事侵攻)に恐怖している。誰もが彼らの政府が起こした行動によってアスリートたちに先例のない制裁を科したことを理解してくれるだろう」とコメントした。 また世界陸連の副会長は、棒高跳びの元世界記録保持者で、ウクライナ代表として世界選手権で6連覇、ソウル五輪でも金メダルを獲得したセルゲイ・ブブカ氏。“鳥人”として世界に名を馳せたブブカ氏は、ウクライナ・オリンピック委員会の会長も務めており、ロシアによる母国への軍事侵攻を受けて、2月26日にSNSにて以下のメッセージを発信していた。 「世界中からのメッセージ、呼び掛けのすべてに感謝します。ウクライナは、IOC(国際オリンピック委員会)が団結に立ち上がり、人道的支援の調整に向けて特別委員会がウクライナ・オリンピック委員会と連絡を取ってくれていることに感謝します。戦争は終わらせなければならず、平和と慈悲が広がっていかなければなりません」 切実な訴えだろう。 また国際バレーボール連盟(FIVB)も8月にロシアで開催が予定されていた男子の世界選手権の開催権を剥奪することを発表した。欧州をカバーしているメディアのユーロスポーツによると、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が勃発した際に、当初、FIVBは「スポーツは政治から切り離されるべきだ」と主張し、予定通りにロシアでの開催を強行する方針を明かしていたが、フランス、米国、ポーランド、スロベニア、オランダらが出場辞退の声明を発表する動きが起き、IOCからの勧告もあって態度を豹変。 「事態の激化とウクライナの人々の安全に重大な懸念を抱いている」との声明と共に、ロシアでの開催を中止として代替場所を探すことを決め、国際スケート連盟、世界陸連が下した方針と同じく、世界選手権を含む国際試合からロシア、ベラルーシの代表チームを締め出すことを発表した。 ロシアは過去に五輪で4度金メダルを獲得している歴史のある強豪国で昨年の東京五輪では決勝でフランスに敗れたが銀メダルを獲得している。 これまでスキー連盟やモータースポーツのF1、国際サッカー連盟(FIFA)、プロボクシングの主要4団体が、ロシアでの大会の開催の中止や、ロシアの選手の国際大会からの除外などを決定していたが、IOCが各国際競技団体に「ロシア・ベラルーシを国際大会から除外すること」を勧告して、さらにロシア排除の動きが加速している。