家庭内事故死、約9割が65歳以上。専門家が教える、身を守る8ヵ条。「自分の家だから大丈夫」と過信せず、まずは「床に物を置かない」ことから始めて
安全であるはずの自宅でケガをしたり命を落としたりする人が増えています。不慮の事故から身を守る手段を専門家に聞きました(構成=浦上泰栄 イラスト=本田亮) 【心身の衰えチェックリスト】4つ以上当てはまる人は要注意。事故のリスクを減らす対策を * * * * * * * ◆【1】「自分の家だから大丈夫」と過信しない 住み慣れた家のことは隅々までわかっている、と油断していませんか。危険がないように思える自宅でも、不慮の事故は高い確率で起こっています。 この機会に家中を総点検して、危険な段差や滑りやすい床、照明の光が届きにくいエリア、極端に寒い場所などがあれば安全策を講じて。 離れて暮らす家族や知人など、第三者の目でチェックしてもらうのもおすすめ。 ◆【2】生活動線を変えてみる 60歳を過ぎる頃から、以前は当たり前にできていた動作が難しく感じることがあります。そんな時は、変化に合わせて生活動線を変えてみてはどうでしょうか。 たとえば、階段の昇り降りがつらくなったら、寝室や洗濯もの干し場など使用頻度が高いスペースを1階に移し、2階はなるべく使わない。 こうすると、階段から転落するリスクを減らすことができます。
◆【3】「床にものを置かない」を徹底 足や腰が痛くてものを拾うのがおっくう、忙しくて床掃除ができないなどを理由に、新聞紙や衣類、紙袋、ダンボールなどを床や廊下に置きっぱなしにしていませんか。 以前は難なくよけられた床面の障害物も、足腰が衰えるとつまずいて転ぶ原因になります。 介護や寝たきり状態を招く転倒のリスクを減らすためにも、「床にものを置かない」を徹底しましょう。 ◆【4】温度差をなくす工夫を 血圧の著しい変化が原因で起こるヒートショックを防ぐには、家の中の温度差をできるだけなくすことが必要です。 入浴前に脱衣所を暖めておく、夜中にトイレに行く時は上着を羽織って体を冷やさない、などの工夫を心がけましょう。 また、断熱&保温効果があり、外気温の影響を受けにくく室内温度を保ってくれる「二重サッシ」を取りつけるのもおすすめです。