受験生に必要な「朝型生活」 夜更かし改善のため、電車や学校で出来ること
受験生が合格するためには、健康管理も重要です。受験勉強で夜型生活になりがちですが、あまりに夜型化してしまうと、睡眠不足や生活リズムの乱れから体調を崩すことにもなりかねません。受験生が上手に睡眠と付き合うコツについて、睡眠研究の第一人者の三島和夫医師に話を聞きました。 【写真】続く不合格に「浪人する」 あきらめた息子を変えた母の行動
勉強時間を確保するために、受験生はどうしても夜型の生活になりがちです。しかし、夜ふかしも程度問題で、寝るのが午前2時、3時といった極端な夜型は、成長の面からも心身の健康面からもお勧めできません。 また、入学試験はほとんどが午前中から始まります。あまりに夜型化してしまうと、試験当日にパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。多少は夜型生活でもいいのでそれ以上は悪化させないこと、そしてなるべく朝型に近づける生活を心がけることが大切です。
体内時計をリセット
朝型に近づけるには、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。 コツは、「光」を利用することです。人間の体内時計(生活リズム)は、日中と夜間に浴びる光(ブルーライト)のバランスで調整されています。目の網膜には体内時計をコントロールする視細胞があり、早朝から昼すぎにかけて強い光を浴びると、目から入ってきた光によって体内時計の時刻が早まり、夜型傾向に歯止めをかけることができます。太陽光であれば曇りの日でも体内時計を動かすくらいの光が得られます。空や明るい方向に顔を向けるだけでも光は入ってきます。 朝型化の効果が特に高いのは、午前8時くらいから11時くらいまでです。登校時はしっかり朝日を浴びましょう。電車に乗っている間、ドアのそばに立って外を見るのもお勧めです。午前中の休み時間は教室の窓際に移動し、明るいほうを見ているだけでもかなり効果があります。朝起きるのが苦手な人はやってみてください。
休日もいつもの時刻に起きる
夜型の人は、土日など学校がない日は昼近くまで寝ていることが少なくありません。平日の睡眠不足を「休日の寝だめ」で解消しているわけですが、平日と休日の睡眠時間帯がずれると生活リズムが乱れ、体調不良を起こしやすくなります。これは時差のある国へ旅行したときに生じる時差ボケと同じ状態で、「社会的時差ボケ」とも呼ばれています。 「土日くらいゆっくり寝たい」という気持ちは理解できますが、わずか2日間でも午前中に光を浴びないと体内時計が夜型化し、平日の努力が無駄になってしまいます。休日も頑張っていつもと同じくらいの時刻に起きて、朝の光を浴びることが大切です。平日の寝不足は、体内時計への影響が少ないお昼前後に1時間+αの昼寝をして、解消するようにしてください。 また、平日と休日の数時間の体内時計のずれが5年、10年続くと、血圧が上昇し血糖が下がりにくくなって生活習慣病の発症リスクが高まります。さらにうつ病になりやすくなることもわかっています。社会人でも休日に寝だめをしている人はたくさんいますが、生涯心身ともに健康に過ごすためにも、「休日もいつも通り」を心がけましょう。