受験生に必要な「朝型生活」 夜更かし改善のため、電車や学校で出来ること
「寝る前にスマホ」はNG
朝の光は体内時計を朝型に近づけてくれますが、夕方以降に光を浴びると、体内時計は後ろにずれこみます。この時間帯に問題になるのは、スマホやタブレットなどのデバイスから出るブルーライトです。夜は日中よりも光の影響を受けやすいので、太陽光よりもかなり弱い光でも、長時間目に浴び続けていると夜型化してしまいます。 夜遅くまで頑張って勉強したあと、「寝る前にちょっとだけ動画を見よう」とか「SNSをチェックしてから寝よう」という人は多いのではないでしょうか。しかし、ブルーライトには即効性の覚醒作用があるので、目がさえて寝つきにくくなってしまいます。眠れなくなって延々と動画を見続ければ、さらに夜型化を進めてしまうことにもなりかねません。スマホを見るのは翌朝まで我慢して、勉強が終わったらすみやかに電気を消して横になりましょう。
「遅い時間の長すぎる昼寝」
「昼寝(仮眠)」の時間にも注意が必要です。 学校や塾から帰宅した後や夕食後、あまりにも眠くてうたた寝をしたら、その晩はなかなか寝つけなくて困ったという経験はありませんか。昼寝は、時間帯が遅くなるほど、「夜の本格的な眠りへの影響」が大きくなります。また、長すぎる昼寝も、睡眠リズムを崩す大きな原因になります。長く眠ると深い睡眠に入ってしまうことが多く、目が覚めてもボンヤリして勉強に集中するまでに時間がかかります。さらにその晩はなかなか寝つくことができないなど、夜の睡眠に悪影響を与えてしまう場合があります。 仮眠をとるならできるだけ早い時間帯(せめて夕食前まで)にしましょう。30分以内がベターですが、睡眠不足が続いて眠気が取れない人は1時間程度を目安にしてください。午後8時以降に眠くなったら、仮眠ではなく、そのまま朝まで寝てしまいましょう。夜型化を防ぐことができますし、翌朝目覚めてから勉強したほうがずっとはかどります。
【回答者】
三島和夫(みしま・かずお)医師/秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授。秋田大学医学部医学科卒。同大学医学部精神科学講座准教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長などを経て、2018年から現職。睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者を歴任。
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