日本の1970年代と同様の経済成長期にあるベトナムが迎えたカタルシス、「ロータス」の運用責任者に聞く
――現在のタイミングは、ベトナム株に投資するタイミングとしては良いのですか?
ベトナム株式を代表する株価指数であるVN指数は、1500ポイントのピークを2022年につけて、2024年に入ってからは1200~1300ポイントでもみ合っています。現在の予想利益に基づくPER(株価収益率)は約12倍で、過去10年平均の15倍に比べてリーズナブルな水準であり、割安といえます。良い投資タイミングと考えますが、投資の基本の一つである時間分散もお忘れなく。
また、現在、ベトナム株はMSCIやFTSEなど国際的な指数会社が出しているインデックスにおいて最下位の「フロンティア」に分類されていますが、これを「新興国」に格上げしようという動きがあります。新興国株に分類されると、世界中の年金基金など機関投資家の資金が入りやすくなるため、ベトナム株式市場への注目度が一段と高まると考えられます。
現在、FTSEが区分変更の準備を進めていて、来年3月をメドに新興国への格上げを実施するのではないかと言われています。MSCIはこれに1~2年遅れるとみられています。この分類変更には、たとえば、現在のベトナム株への投資には予めベトナム通貨のドンを保有していなければならないという「プレ・ファンディング」の規制があり、また、外国人投資家の保有上限など、規制の廃止や緩和が求められているのですが、今、それらの条件に適うようにベトナム規制当局や証券取引関係者の間での調整が進んでいるところです。「新興国」への格上げは、ベトナム株式市場を活性化させるカタルシス(きっかけ)になると期待しています。
また、現在のベトナムの政策金利は4.5%でコロナ禍中の4.0%を除けば史上最低水準に引き下げられていて、景気刺激的な金融政策がとられています。これまでは、この低金利のためにベトナム通貨ドンが対ドルで弱含むという副作用が懸念材料でしたが、米FRBによる利下げ観測が広がってきたために、ここ最近はベトナム通貨ドンの対ドルレートは強くなる傾向ですので、これもベトナム株の投資には安心感につながる要素だと思います。
ウエルスアアドバイザー