日本の1970年代と同様の経済成長期にあるベトナムが迎えたカタルシス、「ロータス」の運用責任者に聞く
ベトナムは人口が約1億人で、6000万人超の質の高い「労働力」を抱えています。現在のところ賃金は中国の2分の1以下の水準であり、世界の企業が中国から生産拠点を移そうという動きになっている中で、ベトナムは中国の代替地の1つに位置付けられています。中国企業もベトナムに生産拠点を作ることに熱心です。「インフラ整備」については、南部の大都市であるホーチミンに日本の技術協力を得て地下鉄が今年開通する見込みです。北部のハノイの地下鉄は中国とフランスの技術協力で開設されました。港湾や空港整備、発電・送電など、様々なインフラ投資計画があり、これが経済の押し上げ要因にもなっています。
ベトナムの経済成長率は年6~7%程度で安定的に伸びているのですが、2024年から26年まで3年間の累積成長率見通しは20%で、これは、米国の6%や日本の2%などと比較すると非常に高い成長率です。
――ベトナムの株価は2022年に大きく下げています。この理由は?
2022年は米FRBが急激なインフレ進行に対処すべく急速な利上げをした事から米国株価が約20%下落した年です。ベトナムの株価は、この米国株価の動向に影響を受けました。ベトナム株式市場の参加者の90%はベトナムの資金で、そのほとんどは個人投資家です。このため、内外のニュース等に大きく反応する傾向が強いのです。株価の変動率(ボラティリティ)は比較的高い市場になっています。2021年に株価が大きく上昇した後だったこともあり、2022年は大きく下落しました。
――ベトナム株については、証券会社で直接投資することもできます。投資信託を使うメリットは?
経済全体が高い成長が期待できる市場ですから、直接、個別の株式に投資したいと考える方もいらっしゃると思いますが、ベトナム株固有の事情として、個々の銘柄に外国人投資家の保有制限がかかっています。このため、有望な投資先であるジュエリー大手のPNJや大手銀行のMBBなどは上限に達していて外国人が新規に購入することができません。