日本の1970年代と同様の経済成長期にあるベトナムが迎えたカタルシス、「ロータス」の運用責任者に聞く
米国をはじめとした先進国経済の成長が鈍化する見通しにある中、新興国経済への見直しが始まっている。新興国経済で代表的な成長期待の強い国はインドだが、そのインドと等しい成長の魅力がある国としてベトナムも注目されている。2017年1月に設定された「ベトナム・ロータス・ファンド(愛称:ロータス)」は、過去5年(年率)トータルリターンが15.89%と、ウエルスアドバイザーが分類する「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」の平均8.77%を大きく上回る高いリターンをあげている。同ファンドの運用責任者である元木宏氏(写真)にベトナム経済の現状と今後の見通しを聞いた。
――ベトナムは日本を50年遅れで追いかけているという見方をされていますが、その意図は?
ベトナムは10年におよんだベトナム戦争が1975年に終結し、その後、1995年にアメリカとの国交を樹立し、ASEANにも加盟します。そこから現在に続く経済成長が始まっているのですが、この時期が第二次世界大戦が終わった1945年頃の日本に似ているのです。日本では1949年に東京証券取引所が再開され、ベトナムでは2000年からホーチミン証券取引所がスタートしました。
たとえば、ベトナムの1人当たりGDPは現在4324ドル(2023年)ですが、日本は1973年に3809ドルでした。ベトナムの平均年齢は32歳(2022年)ですが、日本では1980年の平均年齢が33歳です。そして、株式市場の時価総額は約41兆円ですが、日本は1972年が31兆円です。現在、トヨタ自動車の時価総額が約44兆円ですから、ベトナム株式市場全体でトヨタ自動車くらいの価値になっています。ベトナムの2020年代は、日本の1970年代に似ているのです。
そして、日本の1970年を振り返ると、1人当たりGDPは1967ドルでした。その後、1995年に4万2110ドル、約21倍に成長しました。日本の株価は1970年に1987円(日経平均株価)だったものが、1989年に3万8916円になりました。株価も約20倍になったのです。この20年間で起こったような日本の変化が、これからベトナムで実現するのではないかと考えています。