認知症=徘徊のイメージが覆る!? 物理的に開かれたデイホームが“地域の人が交差する”場所になった理由
家族が認知症になったらどうしよう。そんな漠然とした不安が、我が家では一昨年の春に現実になりました。診断を受け入れられないのか“うつ状態”になった父、心配がすぎて父を家に閉じ込めようとする母。遠方に暮らす私にできることはないかと調べ始めましたが、出てくるのは症状が進んだ場合の話ばかり。 【写真】タンパク質を摂って動くと筋力もつく。「車椅子だった人が、3週間でだいたい歩けるようになっちゃう」理由も納得の光景 そもそも、生活に困るほどの症状がない認知症初期の人に対する情報は、あまり表に出てこない。少しの工夫さえあれば、今までどおり暮らすことができるはずなのに。少しずつ調べていくうちに、私が持っていた認知症のイメージは古いこと。そして、認知症の人が地域で暮らしやすくなるような動きが活発であることを知りました。
「でも本当に?」……少し疑いたくなるぐらい、今までの認知症のイメージが変わる、認知症の新常識。この連載では、“認知症の解像度”を上げてくれる場所や人を訪ねて、認知症の現実に向き合います。 ■■マニュアル通りでないケアで注目される「あおいけあ」 「要介護認定っていつ受けるもの?」というのは、家族が“認知症デビュー”したあとの悩みあるある。要介護認定を受けることでデイサービスなどを利用することができるけれど、要介護認定されると本人が傷つくことは明白だし(どんな分野でも弱者扱いされたい人などいない)、デイサービスといえば手遊びしたり歌を歌ったりする場所というイメージも強く、家族としてもそんな子ども扱いをされる父親など見たくはない。一方で、家に閉じこもりなのもストレスになるし……。 そんな思いでいろいろ調べているなかで知ったのが、「小規模多機能型居宅介護」という形で運営されている「あおいけあ」。マニュアル通りでないケアが注目を浴びていて、日本全国だけでなく、世界各国から視察の方が訪れるほど画期的な場所なのです。代表の加藤さんに、今知りたいあれこれをお聞きしました。 神奈川県藤沢あおいけあ 2001年に代表の加藤忠相さんが設立した介護事業所。「あおいけあ」が運営する小規模多機能型居宅介護とグループホームは、利用者の個性を尊重し、地域とのつながりにも積極的に取り組み、利用者も家族も地域の人々も安心して過ごせる場所になっている。その取り組みは世界中から注目を浴びている。