樟南二円陣

＜第106回全国高校野球選手権鹿児島大会：鹿児島実8－1樟南二（8回コールド）＞16日◇2回戦◇平和リース球場 【トーナメント表】鹿児島県大会　16日までの結果一覧 　鹿児島実は3回裏、4安打を集中し、5番・髙橋 裟輝亜（3年）の適時打と併殺崩れで3点を先取した。 　5回表、樟南二は二死一三塁らか1番・勇田大珠（3年）の右前適時打で1点を返す。 　その裏、鹿児島実は3四死球で二死ながら満塁とし、暴投と1番・満留裕星（3年）の中越え2点適時二塁打で3点を追加した。 　7回には押出し、8回には1番・満留の適時内野安打で7点差とした鹿児島実がコールド勝ちした。 　強豪・鹿児島実を相手に「9回まで試合をやること」は、樟南二・德田幸伸主将（3年）がまず掲げていた目標だった。 8回裏、あと1ストライク、1アウトがとれれば9回表の攻撃が迎えられたが叶わなかった。「悔しい」と素直な心境を吐露したが「チームの成長」は随所に感じられた一戦だった。 　「鹿児島実と試合できるチャンスは滅多にない。県大会決勝を戦うつもりでやろう！」。我那覇悟志監督はハッパをかけた。初回、四球で出塁した1番・勇田が二盗を決めた。各打者はバスターを試みるなど、工夫を凝らして5回まで毎回出塁し、5安打した。5回には勇田が一二塁間を抜いて1点を返した。 　6回以降は打線が沈黙し、防戦一方の展開になったが、守備の粘りは途切れない。7回裏、5点差になったところで、3番手で德田主将がマウンドに上がった。四球押出しで6点差。あと1点でコールドが決まる。次打者は県下屈指の強打者の4番・原田颯馬（3年）。絶体絶命のピンチだったが「絶対に抑える！」強気の直球勝負で二邪飛に打ち取った。 鹿児島実相手に9回まで試合はできなかったが、何よりの成長は2試合無失策で守り「自ら崩れないチームになった」（我那覇監督）ことだ。これまで四死球、エラー…自分たちのミスで大量失点を食い止められず、簡単にコールドで負けていた。崩れなくなったのは「生活面を含めて、試合にでるまでの準備がちゃんとできていた」から。雨で3日間順延となったが、我那覇監督の母校でもある樟南のグラウンドや雨天練習場で練習するなどでコンディションを整えた。宿舎での集団生活も規律正しく送っていた。 　根気強く教えたことが少しずつ結果で出てきただけに、9人の3年生と「もう少し野球をしたかった」と我那覇監督は惜しんでいた。