食品ロス削減へ、飲食店に持ち帰り容器の提供要請…厚労省検討会が新指針
「食品ロス」の削減に向け、厚生労働省の有識者検討会は、飲食店で食べ残した料理の持ち帰りに関する衛生指針案をとりまとめた。持ち帰りは、消費者の自己責任であることを明記した。来年度にも指針の運用を始める。
指針案は「食べきりを基本」としつつ、食べきれずに持ち帰る場合の留意点を列挙した。消費者は食中毒を防ぐため、対象の食品については店側の判断に従う。原則として自分で容器に移し替え、速やかに消費するよう求めている。
店側に対しては、持ち帰りを希望する客への容器提供を要請。対象の食品として「十分に加熱され、常温で保存可能で、水分量が少ないもの」を例示した。食中毒が起きた場合は消費者も含め、保健所の調査に協力するよう求めた。
厚労省が10月に示した骨子案には、調理時の加熱温度や持ち帰り可能な食品名が記載されていた。だが、検討会委員の「具体的に書くと、それに左右されてしまう」といった意見を踏まえ、指針案で削除された。
持ち帰りに関しては、消費者庁でも法的責任に関する指針策定を進めている。今後、微修正したうえで正式決定される厚労省の指針と合わせ、ホームページなどで公開される見通し。
国内の食品ロスは推計472万トン(2022年度)に上り、このうち60万トンを外食産業が占める。食中毒への懸念から、持ち帰りに二の足を踏む店や消費者は多く、厚労省は促進に向けて検討会で議論してきた。