女子フィギュア宮原の回転不足判定のなぜ?
平昌五輪のフィギュアスケートの団体戦、女子シングル(SP)が行われ、日本のエース、宮原知子(19、関大)と、“世界女王”エンゲニア・メドベージェワ(18、OAR)が明暗を分けた。日本は5位でFS進出を果たしたが、宮原は21日からの女子個人戦に向けて厳しい現実を突きつけられることになった。 宮原は冒頭の3回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプも乱れず着氷に成功し表面上はミスらしいミスがないまま『SAYURI』の世界を華麗に表現した。演技を終えて手ごたえがあったのかガッツポーズまで飛び出た。だが、キス&クライで、得点が68.95点と出ると、思わず宮原の表情は凍りついた。呆然といった表現が正しいだろう。「点数的には少し悔しい」。精一杯のコメントだった。冒頭の3回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプで両方を回転不足と判定されたのである。 この連続ジャンプの基礎点は10.30点だが、2つのジャンプで回転不足を取られたため、7.20点まで減点となり、GOE(出来栄え点)もマイナス1.20点となった。これだけで少なくとも4、5点は失ったことになる。なぜ宮原は五輪の大舞台で回転不足判定を取られたのか。 元全日本2位で大会によってはジャッジ経験もある中庭健介氏は「審判員が判断している映像を見たわけではなく、あくまでもテレビ映像を見ての個人的な意見ですが、少し厳しい判定だったように思えました」という感想を口にした。 「おそらく違った審判員が違った大会で、今日の宮原さんのジャンプを判定すれば、アンダーローテーション(回転不足)を取らない可能性もあります。明らかなアンダーローテーションではなく、それほど微妙な判定だったことは確かです。ただ、今日の審判員は、宮原さんに対してだけでなく、コストナー選手、オズモンド選手の連続ジャンプに対してもアンダーローテーションを取っていました。“ここからがクリア、ここからがアンダー”というライン(基準)を公式練習などを見ながら審判員が固めるのですが、今日のラインが、今回の五輪では個人戦でも目安となるのでしょう」 ジャンプに高さがなくスピードと回転力でカバーしてきた宮原は、これまでも回転不足が問題とされてきた。冒頭の連続ジャンプも、昨年のNHK杯と1月の四大陸選手権ではファーストジャンプの3回転ルッツが回転不足と判定され、昨年の全日本選手権では、セカンドジャンプの3回転トウループが回転不足とされた。昨年に名古屋で開催されたGPファイナルのフリーでも連続ジャンプが2つ共に回転不足として減点された。