絶対味わうべき余市ワインの生産者3選と、北海道の自然派ワインを楽しめる札幌の名店へ!
1シーズンの収穫で100~120トン、瓶詰めすれば10万本以上になるキャメルファームワイナリーの醸造設備は、まさに近代的だ。いちばん大きなタンクで8000リットル、巨大なタンクが整然と並ぶ。 「キャメルファームワイナリーの主力商品は、冷涼地で採れた酸味が豊かなブドウで造るスパークリングワインです。タンクの中で二次発酵させる『シャルマ方式』で造るスパークリングワイン用のタンクも複数稼働しています」
醸造されたワインは品種と使用用途に応じて特性を見極め、木樽やステンレスタンクで熟成工程に。同じ品種でも畑の区画ごとに味わいが異なるため、それぞれ別の樽で熟成させる管理を行なっている。木樽が並ぶ熟成庫は空気を動かすことなく温度調整ができるシステムにより、温度は常に一定に。また湿度も管理し、樽の乾燥を防いでいる。
また、高価格帯となる瓶内二次発酵ワインは、瓶内の澱を集めるためボトルを回転させ、徐々に傾きをつけていくルミアージュという作業を人の手で行う。澱の上で熟成を重ねながら、繊細で滋味深い味わいを生み出している。
ボトリングからコルク封入、キャップシール、ラベリングの作業はすべてベルトコンベアに乗せられ機械で行う。最後にスタッフの目視でボトルをチェックし、箱詰めへ。余市のワイナリーから、連綿と受け継がれた珠玉のワインが全国へと運ばれていく。
「10年前、私たちが来た時は後継者不足や離農が相次いでいて、どうやったら農業を続けていけるのかという問題に直面していました。キャメルファームワイナリーは、"企業だからこそ持続可能な農業"が叶うのではないか、と考えて活動を続けてきたんです。ありがたいことに国際品評会で『ピノ・ノワール プライベートリザーブ 2019』は2021年に、『ブラウフレンキッシュ プライベートリザーブ 2020』は22年に賞をいただくこともでき、余市のワインのおいしさを世界に広げる夢も少しずつ実現できてきました」