絶対味わうべき余市ワインの生産者3選と、北海道の自然派ワインを楽しめる札幌の名店へ!
「当時の余市はワイン造りという文化が浸透しておらず、原料の町と見なされていました。育て始めたのはメルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、そしてピノ・ノワール。親戚も契約農家でしたから、自然派で濁りのあるワインを造ることやフランス系の品種を造ることには、結構反対されました」 畑を案内しながら誠人さんはそう語る。北と南に植えたピノ・ノワールから造られた「1824 風のヴィンヤード ピノノワール 2019」はインターナショナルワインチャレンジ2023で銀賞に入賞、自社畑から初リリースとなった「1824 風のヴィンヤード ソーヴィニヨンブラン2021」は銅賞を獲得するなど、由利子さんが手がけるワインは世界からも注目を集めている。
2024年6月には、念願だったオーベルジュも開業予定。会員向けにワイナリーでのイベントや宿泊体験なども行なっていく。余市というテロワールを全身で体感する、"アグリツーリズモ"を実現するワイナリーへと進化を続けているのだ。
その取り組みはワインだけにとどまらない。「ワインを造る際、ブドウの絞り滓がどうしても発生します。これをどうにか利用できないかと思っていたのです」と誠人さん。余市を流れるヌッチ川の畔にあった元農協施設を再利用し、ここでぶどうの絞り滓から蒸留するグラッパ(=マール、ブランデー)造りを行う蒸留所を稼働させることに。醸造機器のメーカーにいた経歴を活かし、設備のデザインは誠人さんが自ら手がけた。
「ほかにも余市のリンゴで造ったシードルも蒸留してアップルブランデーを造ろうと思っています。また、ハイブリッド蒸留機の後ろには2機の単式蒸留器を準備し、北海道で育てた麦芽から造るウィスキーを仕込んでいきます。余市のものはなんでも蒸留してみよう、という気概です(笑)」
新たな試みを続けるリタファーム&ワイナリーのワインは、どこまでも優しく滋味深い。野生酵母だけで発酵させた、身体になじむような味わい。余市産のデラウェアを使った「タルデラ バタフライ」は、優しく甘いフルーティな果実味がしみじみと伸びていく心地よさ。旅路、という珍しい品種を使った「十六夜 旅路」は、酸味がじっくりと広がる、どこか懐かしいようなおいしさだ。ボトルによっては、信濃屋を始め都内の酒販店で購入することも可能! ぜひこの世界観を味わってみてほしい。