ドウデュース、衝撃の取り消し 友道師「金曜、少し歩様おかしくなって」種牡馬という大仕事が待ち「決断せざるを得なかった」【有馬記念】
競馬界に衝撃が走った。ファン投票歴代最多となる47万8415票を獲得するなど、「第69回有馬記念」(G1・22日・中山・芝2500メートル)の主役だったドウデュース(牡5歳、栗東・友道)が20日、右前肢跛行(はこう)のため出走を取り消した。連覇、そして天皇賞・秋、ジャパンCに続く同一年秋の古馬三冠達成が懸かっていたが夢はついえた。有馬記念がラストランと決まっていたため、走ることなくこのまま引退、種牡馬入りする。 主役が有馬記念の舞台を走ることなくターフに別れを告げた。ドウデュースが右前肢跛行のため、出走を取り消した。衝撃の取り消しは友道師が20日午後、栗東トレセンで説明した。 「結論から言えば回避します。金曜も普通のキャンターを乗って、プールに行こうとした時に帰ってきて少し歩様がおかしくなって…。現時点で言えることはそれだけです。これだけの馬ですからオーナーと相談して出走を見合わせることになりました」と言葉を絞り出した。症状は軽度という。だが、現役最強馬として無理をさせるわけにはいかなかった。 異変が見られたのは20日の調教後だった。角馬場で体をほぐしたあと、CWコースへ移動。落ち着いた様子でキャンターを消化し、高いレベルでグランプリに向かおうとした矢先だった。 連覇、同一年秋の古馬三冠、そして、レース後は引退式も予定されていたが、かなわなくなった。「ファンの皆さまには申し訳なく、謝りたい気持ちです。引退式も中止です。有馬記念も大事でしたが、その次に(種牡馬としてという)大きな仕事が待っている馬なので決断せざるを得なかった」と師は頭を下げた。 2021年9月5日の小倉で2歳新馬戦でデビューVを飾るとアイビーSで連勝、それまで武豊が勝ったことのなかった朝日杯FSも3連勝でゲットしてニューヒーローの座に。3歳となり、弥生賞ディープインパクト記念2着、皐月賞3着と連敗したものの、迎えた日本ダービーではイクイノックスを撃破。世代の頂点へと立った。 一方でその年の凱旋門賞では世界の厚い壁にはね返され、19着と惨敗。4歳になった23年は京都記念を圧倒的なパフォーマンスで快勝しながらも、勇躍挑んだドバイターフは左前肢跛行で取り消し。有馬記念で完勝も、今年のドバイターフは展開に泣かされて5着と、海外では力を発揮できなかった。 現役生活最後となったこの秋は異次元の末脚を使って天皇賞・秋、ジャパンCと連勝。有馬記念でテイエムオペラオーとゼンノロブロイしか成し遂げていない古馬秋三冠を達成し、有終の美を飾るはずだった。 武豊をして「自分の中でも中心にいた馬」と言わしめた逸材。来年からは北海道安平町の社台スタリオンステーションでの種牡馬入りが決まっている。日本競馬をけん引してきたスーパースターは志半ばで現役を退き、2世に成し遂げることができなかった夢を託す。
中日スポーツ