「痩せているのにダイエットしたい」社会背景と健康リスクに向き合う
先進国で最も「痩せている女性」の割合が高い日本
――ちなみに、「痩せ」とは、具体的にどんな状態を指すのでしょうか? 田村先生:国際的な指標に基づき、BMI*が18.5未満を「痩せ」としています。例えば、160cmの人だとBMI18.5の場合、47.4kg未満は痩せにあたります。 *BMI:ボディマス指数(Body Mass Index)。体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数。計算式は、体重kg÷(身長m)2。 ――若い女性の「痩せ」はいつからどのくらい増えているのでしょうか? 田村先生:日本は、20代の5人に1人が「痩せ」状態にあり、先進国の中で最も痩せている女性の割合が多いんです*。統計を見ると、1980年ぐらいから増えていて、その原因としては、70年代後半からのダイエットブームの影響が考えられます。また、同じ時期にタレントのプロフィールに体重が明記され始めたことも理由のひとつにあるかもしれません。 *痩せている女性の割合は、日本が9.8%なのに対して、韓国は4.9%、アメリカは1.7%。途上国の栄養状態が改善され世界的にBMIの平均値が上昇している国がほとんどななか、日本とシンガポールの女性のBMIだけが低下傾向にある
ダイエット経験がある痩せの女性は、勤勉でストイックな傾向がある?
室伏先生:研究では、同じ痩せた女性でも、ダイエット経験がある人とない人では自身の体重に対する認識が異なることが明らかになっていて、ダイエット経験者は未経験者と比べて、体重に対する基準がとても厳しいことがわかりました。 また、性格特性にも違いが見られます。ダイエット未経験者の女性の特徴として、ダイエット経験者と比べて「開放性」が高く新しい経験に対して開放的な傾向であるのに対し、ダイエット経験者は未経験者と比較して「勤勉性」の得点が高いことがわかっています。 ダイエット経験者の特性として、責任感が強く自制心と忠実な行動を持って目標達成に向け努力する傾向にあるかもしれません。そのため、ダイエット経験のある低体重の女性はよりストイックに痩せにつながる行動をとる可能性があります。