ファシリティドッグの育成【医療チームの一員! ホスピタル・ファシリティドッグ】
◇候補犬の日常生活
候補犬は日ごろ、ドッグトレーナーと育成拠点で過ごしています。子犬の時期は全ての事に興味津々で、いろいろな物をかんだり、トイレに失敗したり。日常生活を送る中で、かんではいけない物があること、テーブルの上にある物を取ってはいけないなど、家の中でのマナーを学ぶことも大切です。 トレーナーの前ではいい子に振る舞うけれど、出先や初めて会う人の前でマナーを守れるよう、預かりボランティアの方の家で過ごすなど、社会生活の経験を重ねていきます。私たちトレーナーは、育成拠点以外の場所で、トレーナーがいない時に候補犬がどのような行動をするのか、どのような様子なのかも把握し、トレーニングを進めていきます。 候補犬たちは、トレーニングとは別に、オフの時間も大切です。トレーナーや預かりボランティアの方々が大きな公園や海、山などに連れて行き、大型犬ならではのダイナミックな遊びをたっぷり行い、リフレッシュしています。
◇専門的なトレーニング
1歳以降は、病院内での実践的なトレーニングを積極的に行います。病院特有の環境に慣れることを目標に、院内全体を探検しながら医療機器を見たり、アラームの音や院内アナウンスを聞いたり、消毒液の匂いを嗅いだりして経験を積んでいきます。さらに、処置や検査の付き添い、ベッド上での添い寝を練習する中で、学んだキューをきちんと実践できるかの習熟度合いを確かめます。ここで重要なのは、キューを覚えているだけではなく、育成拠点以外のどんな場所でも、またトレーナー以外の人に対しても同じように行動できるかどうかということ。トレーニングの各段階で行ってきた進捗(しんちょく)チェックの最終段階と言えます。 さらに、候補犬は卒業試験といえる2種類のテストを行います。一つは、病院内で安全に活動するためのスキルを習得しているかのチェック。二つ目は、ADIの基準を参考に行う公共の場でのマナー評価です。1頭ごとにトレーニングの進捗は異なりますが、これらのテストに全て合格し、働く犬として心身ともにふさわしい状態だという獣医師の診断を得て、ファシリティドッグとしての活動をスタートします。(了) ※1 Assistance Dogs of Hawaii:シャイン・オン!キッズが設立当初から連携している、ハワイ・マウイ島にあるファシリティドッグを含む介助犬のトレーニング施設 ※2 Bergin Universitiy of Canine studies:世界で最初に介助犬の訓練、育成を始めた大学。ボニー・バーギン氏がカリフォルニア州サンタローザに創立。世界中へ多数の育成人材を輩出している ※3 Assistance Dogs International:補助犬育成団体の世界的な統括組織。世界30カ国にある約150の非営利の補助犬育成団体で構成される国際連合