避難所における「性的被害」相次ぐ...。自分や家族を守るため、ゼッタイに知っておきたい"災害時のリスク"
起きてほしくない災害。でもこれまでにたくさんの災害を経験してきた日本だからこそ、過去から学べることがたくさんある。東日本大震災女性支援ネットワーク(※)が実施した「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」 に関する調査(2015)によると、「避難所で、夜になると男の人が毛布の中に入ってくる」「女の人をつかまえて暗い所に連れて行って裸にする」などのジェンダーに基づく暴力の被害にあった女性たちがいることがわかっている。6~12才の少女からは「(成人男性に)キスしてと言われた。トイレまでついてくる。着替えをのぞかれる」という経験をしたという声も。 【写真】ネットで買える、本当に役立つ「女性のための」防災グッズ28選 (※)現在、東日本大震災女性支援ネットワークは解散しており、当団体メンバーが新たに立ち上げた「減災と男女共同参画 研修推進センター」が活動の一部を引き継いでいる。
もし自分が被災者になったら 「しかたない」で済まさないで
被害にあった女性たちの一部からは「周りの女性も『若いからしかたないね』と見て見ぬふりをして助けてくれない」といった経験も聞かれた。まるで女性が若かったのが原因のようにも聞こえる。これは本当に「災害時だから」「女性だから」しかたがないことなのか? もしかしたら、避難先のプライバシーが守られていなかったことに要因があったのかもしれない。もしくは、ジェンダーに基づく差別や偏見があったのかもしれない。そして、これらのリスク要因は災害が起きる前、つまり防災を考えるときに女性の視点が入ることで、減らすことができる部分もあるはず。
「まさか」の事態に備えて、今できることを始めておこう
被災して心身ともに厳しい状況にあるときに、そうした性被害にまで遭ってしまった人たちのことを考えるといたたまれない。同時に、それは決して他人事ではないのだ。 ここで知っておきたいのは、「女性の防災リーダー」の存在。災害や防災における様々な場面で女性の視点を反映できるようにするために、意思決定者の中に女性がいることが重要なのだ。 例えば、避難所。避難所の運営は主に自主防災組織や自治会の役員である男性たちが担う場合が多い。そのため、女性が困りうることや女性が抱えるリスクへの配慮に乏しい避難所になる可能性が高い。もし避難所運営を考えるメンバーに女性もいたらどうだろうか? 実際、東日本大震災では避難所を運営するメンバーに女性が入り、避難していた人々のお困りごとを取りまとめるリーダー役を担ったところ、女性だけでなく、子どもや高齢者まで相談しやすい環境になったという結果が明らかに(東日本大震災女性支援ネットワーク, 2012)。 でも、防災や災害支援の現場では、まだまだ女性リーダーの存在は少ない。そんな現状に対して、東京都では地域や企業における防災活動の核となる女性の防災人材を育成するために、防災ウーマンセミナーや女性を対象とした防災コーディネーター研修が開催されている。「地域で防災に関わりたい!」と思っている人や「職場の防災担当として準備したい!」と思っている人に紹介したい。