UEFA欧州選手権の焦点は古豪ドイツの復活 2026年W杯まであと2年、森保ジャパンのライバルはどう戦うか
■ 代表復帰したゴールキーパー、ノイアーに一抹の不安 クロースの代表復帰も奇策だったが、統一感を欠き迷走していたドイツ代表にはピタリとはまった。実際、クロースが加わった後、ドイツ代表はEURO 2024の優勝候補と目されるフランス代表に2-0で圧勝し、強豪オランダ代表にも2-1で競り勝っている。 クロース自身、代表復帰の際は「EURO2024では、周りの人たちが思っているよりもっとずっと大きなことを成し遂げられると確信している」と述べている。チャンピオンズリーグとEUROの二冠を達成すれば、現役ラストイヤーにして初のバロンドール(世界最優秀選手)受賞も視野に入ってきそうだ。 もう1人のキーマンが、ケガから代表復帰を果たした38歳のゴールキーパー(GK)マヌエル・ノイアーだ。 ただし、ノイアーの場合、クロースとは評価のされ方が違う。クロースはドイツ代表にプラスの変化をもたらしたが、ノイアーはむしろドイツ代表の不安材料だ。 ノイアーはクロースと同じく2014年W杯ブラジル大会優勝時の主力メンバーの1人で、今もドイツリーグの強豪バイエルン・ミュンヘンのゴールポストを守る。 ドイツ代表の“絶対守護神”という立ち位置は変わらないが、193cmの長身と高い運動能力を活かしたビッグセーブが健在の一方で、最近はびっくりするような凡ミスが少なくない。 一例が、バイエルン・ミュンヘンとレアル・マドリードという優勝候補同士の対決になった今年5月のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝。ファーストレグ(第1試合)を2-2のドローで折り返した決戦のセカンドレグ(第2試合)、バイエルン・ミュンヘンが1点をリードしていた88分、ノイアーは相手フォワード(FW)のシュートをあろうことかファンブルし、こぼれ球を押し込まれて同点に追いつかれてしまう。
■ “世界最強の控えGK”もいるが… 動揺がおさまらないままロスタイムに突入すると、直後に勝ち越し弾を浴びて逆転負けを喫した。試合後、ノイアーは「サッカーをしたことがある人なら、僕が今どんな気持ちか分かってくれると思う。決勝の舞台にいる自分たちの姿も見えていた。今はただ悔しい」と唇をかんだ。 しかし、屈辱の経験は教訓にはならなかったらしい。EURO 2024直前の6月4日に行われたドイツ代表の対ウクライナ代表戦でも、ノイアーはやらかした。 高い位置まで守備のカバーに入った状態で味方のバックパスを華麗に処理したまでは良かったが、ボールが敵方に渡ってしまい、ヘディングでパスを通されあわや無人のポストにシュートを決められる事態になりかけたのだ。 運よくオフサイドフラッグが上がり、最終的にノイアーとドイツ代表は絶体絶命のピンチを逃れた格好になったのだが……。 ドイツ代表には他国であれば間違いなくレギュラーであろう“世界最強の控えGK”がいる。スペインリーグのバルセロナに所属するマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンだ。 試合の後、ナーゲルスマンが「正GK争いについては、いかなる議論もさせない。私はノイアーを信頼している」と断言したというメディア報道があった。