杉咲花×若葉竜也『アンメット』7話。豚足、開店チラシ…ミヤビが感じる日常の美しさ
前日の記憶が残るようになった川内ミヤビ(杉咲花)に喜ぶ仲間たち。しかし、ミヤビの記憶には間違いが多く……。『アンメット ある脳外科医の日記』(フジテレビ系月曜夜10時~)7話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。 イラストをチェックする
ミヤビの歩く道が輝きを放つ
抗てんかん薬の量を増やしたことにより、断片的にではあるが前日のことを覚えていられるようになった川内ミヤビ(杉咲花)。6話ラストで寝起きのミヤビが「何これ。……昨日食べた豚足か」とローテンションでつぶやき、そのことに自分で驚くシーンはしみじみよかった。逸る気持ちを抑えきれないようにときどき走りながら病院に向かい、仲間たちに報告するときの喜びに満ちた笑顔! 豚足を拾ったときにミヤビの脳裏に浮かんでいた「昨日の晩ごはん」の姿も魅力的だった。ひとりで食卓に向かい、豚足にかぶりつくミヤビ。そこには一日一日を生きているまっすぐな姿があった。 そこからつながる7話冒頭では、いつもと変わらない通勤の道が輝いて見える描写が美しかった。緑の木々の隙間から太陽が降り注ぎ、すれ違う人々がそれぞれの人生を生きている。「今日から開店です」とチラシを渡されたミヤビは、昨日ここを通ったとき「明日から開店です」と同じようにチラシを渡されたことを思い出す。たった数十秒のシーンながら、昨日は今日と繋がり、今日が明日に繋がっていること、それを新鮮に享受するミヤビの喜びが強く伝わってきた。 ミヤビの記憶改善に喜ぶ仲間たちだったが、三瓶友治(若葉竜也)は「それならもっと改善していいはずなんです」と浮かない顔を見せる。やがて、ミヤビに記憶の内容がすり替わる「記憶錯誤」が起きていることがわかる。食べものの記憶ならまだしも、患者についての記憶を間違えてしまうに至り、周囲は不安を隠しきれない。ミスによってミヤビが自信をなくすことを心配し、ミヤビの薬の量を戻してはどうかと星前(千葉雄大)は三瓶に提案する。それに対し、迷う様子を見せながらも、「記憶は仕事のためだけにあるわけじゃありません」と答える三瓶。三瓶は常に医師としてのミヤビだけでなく、彼女の人生丸ごとを考え頭を悩ませている。そのことがちょっとした会話からも伝わってくる。