会話ボタンで絆が深まったモネとフーフー 犬も猫も豊かな感情があることを伝えたい
保護猫のフーフーも仲間入り
「モネが落ち着いたら、今度こそ猫を飼いたい」と考えていたママさん。2024年5月、「モネに合う子を」と選んだのが、生後間もない保護猫の「フーフー」だった。シェルターに80匹ほどいた猫たちのなかから、一番懐いてくれた子を迎えることにした。「犬と猫はすぐに引き合わせてはいけない」という話もあるなか、ママさんには確信があった。 「モネの優しい性格を信頼していたので、フーフーをその日のうちにケージから出して、2匹を引き合わせました。案の定、すぐに打ち解けて、翌日には一緒にご飯を食べていましたね。3日目には、モネが『うれしい』のボタンを押して、フーフーを受け入れてくれました。その直後、私を見ながら『ありがとう』のボタンも押してくれたんです」 そんなフーフーもモネの影響を受け、会話ボタンを使うように。 「まずは『お手』の練習を応用して、ボタンを押す動作を覚えさせました。その後はおやつを使ったりして練習しているうちに、すぐに『ごはん』や『ビュンビュン(ねこじゃらし)』など、自分の好きなものの単語を覚えていきましたね。モネがボタンを押すと私が反応するのを見て、自然に学んだ部分もあると思います」 「ボタンの教え方は、モネもフーフーも同じ。ボタンを押して教えることもありますが、基本的には日々の会話を通じて覚えさせています。たとえば、誰かになでてもらった後は『うれしいね』と声をかけ、遊んだ後は『楽しかったね』と声をかける。特別なことをしているわけではないんです。こうして会話が増えることで、絆も深まったと感じていますね」 モネがフーフーを見つめて、「遊ぼう」とボタンを押して誘うこともあるそう。 「うれしそうにすぐ遊び始めるんです。これから、2匹のコミュニケーションを見るのがますます楽しみですね」
ボタンを通じた日々の変化
「ボタンを導入してよかったのは、彼らが“気分”を教えてくれることです。特に『ノー』や『プンプン(怒っている)』などのネガティブなワードは、『イエス』や『うれしい』よりも重要だと思っています。『プンプン』は”早く行こうよ”かもしれないし、『ノー』は”いまはお散歩の気分じゃないからイヤ”といった意思表示かもしれない。そうしたときに、別の方法を考えるきっかけになるからです。実際、外で騒音がしたときにモネが『ノー』『怖い』のボタンを押したことがあって、窓やカーテンを閉めるなどの工夫をすることで、彼らの生活の質を上げることにつながりました」 さらにボタンのおかげで、モネの変化に気づくきっかけになったことも。 「ある時、モネの食欲がなくて、ごはんが合わないのかなと思いしばらく様子を見ていたんです。そうしたら、とうとう『痛い』のボタンを押すようになって。すぐに病院に連れて行ったら、急性膵炎(すいえん)の可能性があると言われたんです。日々の観察だけだと『まだ病院へ連れていくほどじゃないかな……』と迷ってしまうことがあるのですが、体調の変化に早く気づくことができました」