2025年も日銀「利上げ継続」なら住宅ローン金利はどこまで上がる? 専門家が「カギを握るのはトランプ新大統領の目玉政策」と指摘する理由
植田総裁は円安と物価上昇に強い関心
米国の物価が上がると、中央銀行にあたるFRB(米国連邦準備制度理事会)は利上げを強いられる。米国では、今年に入ってから物価高がようやく収まりつつあり、利下げ局面に入ったところである。仮に、トランプ政策で物価高が再燃すると、利上げ局面に逆戻りする。米国の金利が上がると、ドル運用ニーズが強まることでドルが買われ、ドル高・円安が進みやすくなる。 円安が進みすぎると、日銀は利上げを検討せざるを得なくなる。日銀の黒田前総裁は、円安が進んでもデフレへの逆戻りを警戒して積極的な利上げを控える傾向にあった。しかし、植田総裁は、円安が進むことで物価が上がりやすくなっている点に強い関心を抱いている。実際、昨夏に実施された利上げには、過度な円安を是正する面もあったとの見方が有力である。 トランプ政権が掲げる政策の中でも、関税の引き上げはわが国を含めて世界景気にとって強いマイナス効果を持つ。トランプ氏が関税引き上げに強くこだわると、わが国では景気が悪化するなかで、日銀が予想以上の利上げを強いられかねない。住宅ローンの借り手にとっては、トランプ氏が繰り出す経済政策から目が離せない状況が当分続きそうである。 西岡慎一 大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。1999年日本銀行入行後、国内外の経済調査などに従事。2021年、日本総合研究所入社し、マクロ経済研究センター副所長などを歴任。22年4月より現職。 デイリー新潮編集部
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