2025年も日銀「利上げ継続」なら住宅ローン金利はどこまで上がる? 専門家が「カギを握るのはトランプ新大統領の目玉政策」と指摘する理由
2025年の日本の経済環境に多大な影響を与えかねないのが、日銀による政策金利の引き上げである。政策金利が上がれば、住宅ローン金利も上昇し、借入れ世帯の家計を直撃する。今年の金利はどこまで上昇するのか。それを左右するのが、「トランプ新大統領」の“公約”だ。【西岡慎一/日本総合研究所調査部・マクロ経済研究センター所長】 【写真】“密会”のあと「黒塗りの高級車」に乗り込む日銀総裁
25年末の政策金利はどこまで上昇するか
今年も日本銀行は利上げを続け、「金利ある世界」の復活にまた一歩近づくことが予想される。昨春、日銀は「マイナス金利」を解除し、夏場には政策金利を0.25%に引き上げた。政策金利とは、日銀が設定する基準となる短期金利のことで、国債金利や預金金利など幅広い金利に影響を及ぼす。住宅ローンの変動金利も政策金利の引き上げに連動するかたちで、昨年、多くの銀行で0.15%ほど引き上げられた。中長期の国債利回りに連動する住宅ローンの固定金利もここ数年上昇傾向をたどっている。 日銀が金利を引き上げる背景には、わが国の賃金と物価が上がっていることが挙げられる。バブル崩壊後、経済の停滞で物価が上がらなくなったことから、日銀は30年にわたって金利をほぼ0%に抑えるという異例の政策を続けてきた。ところがコロナ禍を契機に潮目が変わり、わが国でも物価が上がり始めた。これに合わせて、日銀は金融政策の正常化に着手し、金利の引き上げを開始している。日銀は2%の物価上昇を目標に定め、金利を段階的に引き上げる方針を示している。 金利がどこまで上がるかは明らかではなく、識者の予想にも幅があるが、仮に日銀の目標どおり2%の物価上昇が定着すれば、金利も2%前後に引き上げられるとの見方が一般的である。ただし、本格的な利上げはバブル期から例がないため、日銀は経済が混乱しないよう、できる限りゆっくりと金利を引き上げていく可能性が高い。今年の景気が順調に回復すれば、日銀は半年に1回のペースで利上げを実施し、本年末の政策金利は0.75%と現在の0.25%から0.5%引き上げられると予想する。