自民総裁選「岸田・石破・菅」3氏の政策の違いは? <外交・安保>
【石破氏】アジアの集団安全保障を構築
「日米関係はわが国の基軸である。価値観を共有する合衆国との信頼関係の強化。それは安倍政権の下で、平和安全法制の実現など成果を得てきた」 石破氏は、安倍政権下での外交・安保政策をこう評しました。その上で「なぜ三沢にF16がいるのか。なぜ横須賀に原子力空母がいるのか。なぜ嘉手納にF22が飛来をするのか。なぜ佐世保に強襲揚陸艦がいるのか。我々はきちんと認識しなければならない」と指摘し、「日本とアメリカのあり方、在日米軍とはどのようなものであるか。そして自衛隊と米軍のあり方、その役割分担をきちんと認識をしなければ、経済的な負担の分担の議論にはならない」と言及しました。 配備が断念された陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に関しては「イージス・アショア的な機能は今後とも必要だ」との見方を示し、「相手国の領域に、仮に自衛権の行使として武力を用いるとするならば、どのような手段によるべきか、そのときに日米同盟はどう機能するのかということをきちんと検証していかなければ。そういうことをきちんと見直していく」と述べました。 「集団安全保障の仕組みというのは極めて重要」だとも言及。「将来的にはこのアジアに集団安全保障の仕組みをつくりたいと、かねてから思っている。そのためにアジアに対する理解、共感、納得、そのこともやっていきたい」との考えを示しました。その際のモデルとして、アメリカとオーストラリア、ニュージーランドの3国が結ぶ「ANZUS(アンザス)同盟」を挙げ、「アジアとともに生きる日本。あるいはEUもそうかもしれない。アメリカと中国、ともにやっていこうという世界をつくるために、日本がイニシアティブを発揮すべきだ」と訴えました。 北朝鮮による拉致問題の解決は「安倍政権で実現できなかった課題の1つ」だとして、東京・平壌連絡事務所を開設する案などを示しました。
【菅氏】戦後外交の総決算など引き続き挑戦
「戦後外交の総決算をはじめとする外交・安全保障に、その課題、とりわけ拉致問題解決に向けた取り組み、そして憲法改正。こうした山積する課題にも引き続き挑戦をしていきたい」 菅氏はこう語り、安倍政権の方向性を継承し、残った課題に取り組んでいくと述べました。 拉致問題については、拉致問題担当になる以前から官房長官として安倍首相と相談しながら進めてきたと説明。「ありとあらゆるものを駆使してやるべき」「金正恩(キム・ジョンウン)委員長とも条件を付けずに会って、活路を切り開いていきたい。そうした気持ちも(安倍首相と)同じだ」と語りました。 北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結についても「次の世代に先送りせずに終止符を打つ、そうした決意で総理と取り組んできた。この方針については変わりない」と述べました。 日米関係については「わが国の外交のまさに基軸」だと強調。それを基軸に「近隣諸国との関係をつくっていく。そうした今の日本の立ち位置は変えるべきじゃない」との認識を示しました。 昨年に訪米してペンス副大統領と会談したことや、安倍首相とトランプ大統領の電話会談には「全て同席している」と説明。安倍首相とトランプ大統領の関係については「友情関係がいかに厚いかと感じる」「このような信頼関係を築くのは、極めて時間がかかる」と評価した上で、「ただトランプ大統領を支えている閣僚、副大統領、そうした関係者と私もかなり昵懇に進めさせていただいている」と強調しました。