アメリカ大統領選の投票行動つかめぬZ世代 ハリス、トランプ両陣営も取り込みに躍起
アメリカは大統領選が11月5日と目前に迫り、どのメディアもカマラ・ハリス(民主党)、ドナルド・トランプ(共和党)、双方の得票率を予測するのに忙しい。メディアがもっとも苦戦しているのが「Z世代」の投票傾向だ。Z世代の理解は、候補者であるハリスとトランプ自身を含む旧世代にとって殊更に難しいとみえ、若者たちの投票が大統領選に大きく影響するとしながらも、その投票先を推測しあぐねている。(堂本かおる=NY在住ライター) 【解説】アメリカ大統領選、接戦の行方は?激戦州と争点、前回選挙の混乱の教訓
ハリス、トランプ陣営が取り込み狙うZ世代の16%
【Z世代の位置づけ】 サイレント世代 1928~1945生まれ(79~96歳くらい) 団塊(ベビーブーマー)世代 1946~1964生まれ(60~78歳くらい) X世代 1965~1980生まれ(44~59歳くらい) ミレニアル世代 1981~1996生まれ(28~43歳くらい) Z世代 1997~2012生まれ(12~27歳くらい) アルファ世代 2013~生まれ(~11歳くらい) 注)Z世代は、1995年または1996年~2012年生まれだとする定義もある。 NBCニュースは9月4日に「世論調査:Z世代有権者の半数がハリス支持、3分の1がトランプ支持」と題した記事を出している。この調査では「他の候補者」と「棄権」を合わせると16%となり、このデータに基づけば、両陣営ともこの16%の層からどれだけ取り込めるかが鍵となる。 アメリカの公共放送PBSなどの番組を制作しているボストンの放送局GBHは、9月10日に行われた大統領選テレビ討論会の翌日に「若い有権者、カマラ・ハリスは討論に勝ったが、より進歩的な政策を望むと回答」と報じた。 「進歩的な政策」とは、移民政策と気候変動を含んでいる。南部メキシコ国境からの不法移民の抑制についてハリス副大統領は大統領選立候補後にトーンを強めており、ペンシルベニア州での「水圧破砕」(フラッキングと呼ばれる天然ガスの採取法。自然破壊を招くことから以前より強い反対の声がある)も、立候補後に「反対しない」と意見を変えている。 さらにアメリカのイスラエル支援問題がある。 ガザ地区、および周辺国を過剰に攻撃し続けるイスラエルへの支援を現バイデン政権が止めず、ハリス副大統領もイスラエル支援を明言している。同様にトランプもイスラエル支持であることから、どちらにも投票せず、あえての棄権を宣言している有権者が少なからずいる。ガザ支援やイスラエル非難のデモが続く中、この層はハリスにせよ、トランプにせよ、イスラエル支援の撤回を公約としない限り取り込むことは不可能だ。