【KONOSUKE TAKESHITA、実り多きAEWでの一年】2025年は漫画でもあり得ないことをやるプロレスラーになる
AEWで昇っても日本に来る理由 DDTの中で闘いたい相手は…
――東京ドームの前日、DDT1・3後楽園からKONOSUKE TAKESHITAの2025年がスタートするわけですが、秋山準と組み納谷幸男&飯野雄貴と対戦します。外から見ている現在のDDTは、どのように映っているのでしょう。 TAKESHITA 僕がアメリカにいったあとにデビューした選手たちの活躍が目立っていますよ。たとえば正田、須見、あとは試合数こそ限られているものの武知海青。両国でデビューする桜庭大翔もそうだけど、僕がまだプロレスについて話したことがない世代が出てきていて、そういう人たちがすごく下から押し上げている印象があって、そういう世代ともどんどんやってみたいというところで11月にアメリカで夢虹とやったんです。ガンプロの中村宗達ともどこかで交わりたいと思いますし、その若い子たちに突き上げられているのがまさに納谷や飯野たちの世代で、下に抜かされるかどうかの瀬戸際にいる人たちと映っています。 ――そうなんですね。 TAKESHITA だからね、ズバリ言っちゃうと来年一年内に飯野や納谷の世代が無差別級のベルトを獲れなかった場合、もうチャンスの順番はその下の世代に来ますから。そうなったら、納谷たちの世代はKO-D無差別を獲れなかった世代になってしまう。キャリアは短くとも、やっぱり若い選手の方が勢いに関してはありますから、それをさらに追い抜くことって難しくなるですよね。納谷も飯野も、恵まれた体格による持ち前のパワーを見せたその先に何を見せたいんだ?っていうのは前々から思っていたので、1月3日はそういう現状を感じた上でどうするかを見せてほしい。 ――ただ、納谷選手も飯野選手も絶対にパワーでKONOSUKE TAKESHITAを上回ってやると実直に来る気がします。対戦するチャンスは限られるだけに。 TAKESHITA でも、それだけじゃ僕には勝てないんで。うん、まったく勝てないんで。このカードにはどんな意味があるのか、対戦相手の僕と秋山さんがどんな気持ちで目の前にいるのか、何を見せたいのか、お客さんには何を見てほしいのかっていうのを色濃く考えて、僕たちの前に立たないとすべて食われます。僕も深く、濃く考えていきますから。1・4があってもまずは1・3について考えて日本にいきます。東京ドームだけに気持ちがいっているなんていうことは、僕の場合はないです。 ――いくつものテーマについて同時進行で思考を働かせる作業は、脳がタフでなければできないことです。 TAKESHITA プロレスラーの一番大変な部分って、そこなんだと思います。リング上での体のダメージ以上に、日々考え続けなければならないシンドさ。考えなくなったら、プロレスラーとして終わる時なんで、それをわかっているからこそ考えるのが頭にしみついている。 ――2024年の無差別級戦線は上野勇希→青木真也→クリス・ブルックスと変遷しましたが、この流れはどう映っていますか。 TAKESHITA そう言われると…タイトルマッチとして見ていなかったです。それまでのDDTって、KO-D無差別級王座が頂点にあってピラミッドが形成されていた。それが今年に入ってからはいい意味でも悪い意味でもUNIVERSAL、EXTREME、KO-Dタッグといったほかのタイトル絡みの物語が横に広がっている印象が強かった。だから、必ずしもKO-D無差別級が中心となっているという感じは薄れた一年だった気がします。 ――それほど他のタイトルも注目される物語を描けるようになったということでもありますよね。 TAKESHITA それが今のDDTにはフィットしているんだと思います。DDTとして目指す形はむしろそっちなんじゃないかと。 ――上野勇希が1年間ベルト持ち続けることができなかった事実に関しては? TAKESHITA 僕が持っている最長保持期間とか最多防衛記録を更新するだろうなと思っていました。ただ、それをなし得られなかったことによってまた一つ僕たちの物語ができるなって。そこに関して、再び上野勇希が向かうシチュエーションが生まれるかもしれない。青木さんに関しては、挑戦さえすればいつでも獲れると思っていたので納得の結果です。青木さんが持っているプロレスはほかの選手が見せられないものなんで、そういう意味で青木さんのタイトルマッチは全部、すごく楽しく見させてもらいました。僕個人としてもああいう試合は好きですし。 ――現王者のクリスについては? TAKESHITA 団体の一番大きなベルトを巻くのって、1回目の時は嬉しいと思った次の瞬間には防衛しなければという迫りくるもので必死になってしまうものなんです。ただ、人間って順応する生き物なんで2回目になるといろんなものがちゃんと見えるようになる。僕も最多防衛記録を作れたのは2度目の巻いた時だった。あの時も実は必死でしたけど、俺はDDTをこういう団体にしたい、チャンピオンとしてこういう姿勢を見せたというのが見せられるようにはなったんですね。2度目の戴冠って、そういうタイミングのものなんです。クリスも初めて無差別級を巻いた時はすごくエモーショナルな気持ちになって、防衛戦の相手とのストーリーを自分の中で描いたと思う。でも2度目となると、これといったストーリーがない相手でもそういったものを作り上げていく役割がある。今回の相手・佐々木大輔にしても、対戦経験は何度もありながら一つの物語を作り上げることはそこまでなかったと思うんです。でも、言動は真逆であってもあの二人の奥底には入場時の革ジャンとかにもあるように、ロックな部分という共通項があると僕は見ていて。お互いのそれがむき出しになったら面白いものになると思うんですよね。僕はクリスなら、そういった面白い物語をどんどん描いていけると思っているんで、DDTを自分が考えるユートピアにしていってほしい。それが2度目のチャンピオンの特権だし。 ――このタイミングで佐々木大輔がタイトルに挑戦することに関してはどう見ていますか。 TAKESHITA わかりますよ。佐々木大輔からすればクリスが考えるユートピアはイデオロギーとして違うとなるし、プロレスにおける正解なんてわからないのと同じように、クリスのユートピアが正解かどうかはやってみなければわからない。だから佐々木大輔が俺の考えるユートピアとは違うんだというのを主張するのは当然でしょう。納得のいく両国国技館のメインだと思います。 ――わかりました。2025年もスケジュールが合う限り日本に来てもらえますか。 TAKESHITA そのつもりでいます。僕が今の立場で日本に帰ってくる意味は、そこに闘ってみたい相手がいるからなんですよ。今のDDTを見ていて、俺はこいつと試合をしたいと思う選手が頭にあるんで、それが実現できるなら帰ってきます。 ――それが誰なのかは…。 TAKESHITA 今は秘密にしておきましょう。それが、DDTの竹下幸之介としての2025年の目標です。 ――アメリカで、あれほどのスケールで日々活動しているわけじゃないですか。それでも、日本でモチベーションを見いだし、刺激を味わえるものなんですね。 TAKESHITA うん、アメリカで見せるべきものと日本で見せるべきものって僕の中では違うんですよね。だから使う頭も違ってくるし、なんなら違う体を使っている感覚にもなるし、違う心を使って闘い分けているんで、日本のプロレスでしか得られないものっていうのは大いにある。日本で試合ができるのも、僕を充実させる上では欠かせないんです。 ――改めて、2024年の締めとして最後に聴きます。AEWにおける最終目標はなんですか。 TAKESHITA これはどこにいこうとも変わらず、世界一のプロレスラーですね。どこの国の人も、どこのプロレスファンも、世界一っていったらTAKESHITAやなって思ってもらえる存在になること。 ――以前にも言ったかもしれないのですが、プロレスの世界一というのはオリンピックの金メダルのような形や、数値で現れるものではない分、何をもって言えるかということになりますよね。 TAKESHITA そこは僕の中で定まっていて。さっきも話した僕の中にいるいつも高いハードルを課すもう一人の自分が「おまえが世界一のプロレスラーだよ」って言った時です。 ――一番低いようで、一番高いハードルじゃないですか。 TAKESHITA はい。AEWに来て、こうやってベルトを獲れた身ですけど、プロレスキャリアの中で一秒たりとも「俺は大丈夫だ」って安心できたことはないんです。考えることがより増えて、一瞬たりとも油断はできない。 ――一年の間にジェリコ、鈴木みのる、田中将斗、オスプレイ、リコシェに勝った人間であっても、世界一ではないと。 TAKESHITA いや、まだまだでしょう。AEWの中でもトップ・オブ・トップではないんですから。だからこそ、WRESTLE KINGDOMで試合をすることが武器になってくる。ほかのアメリカの選手たちやAEWのトップ選手たちが経験できていないことができるわけですから。大谷翔平選手の二刀流のように、そんなことは漫画でもあり得ないよっていうことをやるプロレスラーになるのが、2025年の目標です。誰もやっていないことを可能にするプロレスラー。 ――誰もやっていないことを来年は見せてくれるんですね。 TAKESHITA 見せられると思います。楽しみにしていてください。
週刊プロレス編集部
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