「延滞金10万円」を支払い拒否し、土下座で許しを請う中年男性…レンタルビデオ店のレジ前が地獄絵図に
2024年10月4日、東京都議会は全国に先駆けて「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を可決。2025年4月から施行するとしている。体感としても、ここ数年、「カスハラ」に関する話題が増えたと感じる人も多いのではないだろうか。 しかし、カスハラという言葉がまだないころから、利用客による理不尽なクレームや言動は存在していた。なかでも、サブスクの隆盛によって現在は減少しているレンタルビデオ店では、カスハラが昔から横行していたと勤務経験のある人物が異口同音。 あのころのレンタルビデオ店で、一体どんなカスハラが起こっていたのか。かつて、レンタルビデオ店でアルバイトをしていた宇治さん(仮名・40代男性)と、現役でレンタルビデオ店に勤務する甲田さん(仮名・30代男性)に話を聞いた。
返金希望の男性客、まさかの理由に驚き
――これまでどんなカスハラを経験したんですか? 甲田:テレビにまつわるケースが多かったですね。 ――テレビとの関係? 甲田:洋画のヒット作のDVDを借りていった男性が、翌日やってきて「返金してほしい」と言うんです。盤面が傷ついて見れなかったなどかと思ったら「昨日の夜、この映画をテレビでやっていたので、テレビで見た。このDVDは見ていないから、返金してくれ」と。 ――返金に応じたんですか? 甲田:いえ、もちろんお断りしました。でも、急に大声で怒られました。「貸すときに『今夜、テレビで放送されますよ』と教えないのは、そっちが悪いだろ!」って。 ――責任の所在をそんな風に捉えるんですね。 甲田:そんな責任は店側にはないことを丁寧に話しても引き下がってくれず、「字幕と比べて観たいという理由で借りる方もいますし」と言って突き返そうとしても収まりませんでした。「客に無料で見させないようにしている!これは詐欺だ!」と騒がれて大変でしたね。15分くらい押し問答みたいになって、最後は「消費者センターに訴える!」と言い放って帰って行きました。 ――テレビでやっていたから返金してほしいというのがよくあるんですね。 甲田:そうですね。他にも何度かありましたし、同僚も同じ経験をしている人が多いです。 ――対策はできないものですか? 甲田:直接的ではないですけど、しばらくしてからカウンターの横にこの先のテレビ番組表のコピーが貼られるようになりましたね。