「延滞金10万円」を支払い拒否し、土下座で許しを請う中年男性…レンタルビデオ店のレジ前が地獄絵図に
「怖すぎて観れなかった」…監督に言ってくれ
――カスハラの発端は「返金しろ」から始まることが多いですか? 甲田:そうですね。店に早足で入ってきて、明らかに怒っている様子の中年女性にいきなり「これ何!お金返してよ!」とキレられたこともありました。 ――どういう事情だったんですか? 甲田:その方が借りたのがホラー映画だったんですが、「怖すぎて1/3も観れなかった!」って言うんですよ。「こんなに怖いものを、誰でも借りられるところに置いておくのはおかしい!」「こんなに怖いなら、ちゃんとわかるようにそう書いておくべきでしょ!」と畳みかけられました。 ――ホラー映画なら、パッケージでも怖いことは書いてありますよね。 甲田:もちろん、返金はお断りしたんですが、「だったら観れなかった2/3の分の料金の割引券をだしなさい!」と言い出して。どうしても引き下がってくれないので、確認のためマネージャーに電話したら、「こっちに落ち度はないから、返金も割引券も対応しなくていい。どうにもならなければ警察を呼んでいいよ」と言われました。 ――賢明な指示ですね。 甲田:マネージャー、電話を切る直前に「観れないほど怖すぎたって、ホラー映画なんだから、すごい褒め言葉だよね。それ、うちじゃなくて監督に言ってやりなって、そのお客さんに伝えといて」と言われました(笑)。もちろん、そんなことは伝えずに警察に来てもらいました。
販売用なのに「レンタルさせろ」と騒ぐ客
――宇治さんは「返金しろ」以外で、カスハラを受けた経験はありますか? 宇治:販売用で陳列していたVHSを持って来て「これをレンタルさせろ」という方がいましたね。 ――レンタルでは出していない作品だったんですか? 宇治:人気の最新作だったのでレンタルは全部貸し出し中だったんです。販売用はレンタルできないことを伝えると「全部貸し出し中になっているのは、店の在庫管理や売上予測のミスだろ! そのしわ寄せを客にかぶれというのか! 客商売というのはな……」と、商売に関する持論を大きな声で怒りながらずーっと話されました。 ――たしかに、最新作は貸し出し中ばかりだった思い出があります。 宇治:その日は長い説教で終わったんですが、それから新作が出るたびに「取り置きしておけ」って、仕事にならないレベルで1日に何度も電話して来るようになっちゃって大変でしたね。